第14話 降り立つ

in the case of Rui


カチカチ

時計の針の音


カチカチ


パチッ

目が覚める


辺りを見渡す


あぁ、ここは俺の自宅となる場所か


制服、ということは


中学か高校に通っているのだろう


ガサガサ

かばんを漁る


生徒手帳

奈良県立開城中学

名前 中嶋Rui


どうやら中学生らしい


ガチャ

扉が開く


「Rui、いつまで寝てる


早く支度して下に降りてきなさい」


「あっ、あぁ」


あれが親の父親か、随分と厳格そうだ


あくまで俺の第一印象にすぎないが


タンタンタン

階段を降りる


バサッ

父親が新聞を広げる


父親「何時だと思ってるんだ


早く朝食にしなさい」


母親「Rui、おはよう、ご飯にしなさい」


Rui「あっ、うん」


あの人が母親か


「いただきます」


突然、始まった俺の地球転生生活


父親「母さんから先週の模試の結果を


見せてもらったが


数学2位だったそうじゃないか」


Rui「えっ」


そうなのか、突然言われても記憶にない


父親「お前は、国語が苦手なんだから


数学で点を稼げといつも言ってるだろうが」


俺の第一印象は正解


とても厳格な父親だ


母親「まぁまぁ、ご飯中なんだから


今はその話はやめにして」


父親「甘やかすな


まだ1年だからって高校受験もあるんだ」


今、俺についての新しい情報が


俺はどうやら中学1年らしい


母親「Rui、もうこんな時間、学校」


Rui「えっ、うん」


ガタッ

立ち上がる


Rui「行ってきます」


バタバタ

母親が追いかけてくる


母親「Rui、忘れ物」


Rui「鍵....?」


母親「なに、ぼーっとしてるの


自転車の鍵」


自転車登校なのか


母親「行ってらっしゃい、気をつけてね」


Rui「うん、行ってきます」


ガチャ


自転車は、これだろう


ガチャガチャ

鍵を入れる


カチッ


はぁ、大丈夫か俺





in the case of mirai


カチカチ

時計の針の音


カチカチ


「miraiちゃん、起きて朝よ」


mirai「ん~」


「miraiちゃん」

体を揺すられる


パチッ

目が覚める


ここは、どこ??


mirai「あなた誰?」


母親「何を言ってるの、ママよ


相変わらずおかしな子ね」


相変わらず


あれ、私何でここにいるんだろう


どうやってここに来たのか思い出せない


母親「学校、遅刻しちゃうよ」


mirai「学校?」


「そうよ、早く支度して」


何が何だか分からない


「ママ、今日からまた夜の仕事始めるから


家に帰ってきたら


ご飯チンして食べておいてね


それから、戸締り忘れないでね」


「.....」


「大丈夫?具合でも悪いの?」


具合は、悪くない


違和感は感じるけど


「ママ、学校に私何しに行くの?」


「やだっ、お勉強でしょ」


勉強


体を眺める


私、手も足もある


ドサッ

赤いランドセルを渡される


「朝ご飯は?」


「い、いらない」


「また食べないの?


ちゃんと食べないと大きくなれないわよ


大変、こんな時間、早く着替えて」


服に着替えてあのかばんをしょって


毎日学校という場所に行くんだね





in the case of alan


カチカチ

時計の針の音


目が覚める


クンクン

匂いをかぐ


絵の具?の匂いがする


ここはアトリエなのだろう


「alan、また画廊で寝てたのね」


alan「えっ」


「風邪ひいちゃうじゃない、大事な体が」


状況が読めない


「さぁ、顔洗って朝ご飯にしましょ」


絵を眺める


name alan


この絵はきっと俺が描いたんだ


母親「alanの好きな物ばかりよ」


alan「俺の好きな物?」


と言われても、自分の好きな物が何なのか


全く分からない


alan「い、いただきます」


母親「偉いわ、ご挨拶ができて」


褒められた


右からフォーク、スプーン、お箸それに


お絞りが二つ


そーっ

手を伸ばす


手で掴む


パクっ


「美味しい」


「alanの好きな物しか並べてないもの」


これが俺の好きな物かは分からないけど


確かにどれも美味しい


ということでこれは俺の好きな物


ということになる


これはどうやって使うんだ?


お箸に手を伸ばす 


スプーンの持ち方をする


ん?思ったより難しい


母親を見る


あぁ、あぁやって使うのか


母親「alanは無理しなくていいのよ


食べやすい方法で


それよりも大事な手を怪我したら大変」


絵を描くから?


RRRRR


RRRRR


母親「あっ、お父さんからだわ」





in the case of mika


お祈りの時間


尊き神へとまた近づけるよう


生涯、純潔を貫きこの身を捧げます


「今朝のお祈りを終了致します


ではまた、夜の7時にこの場所で」


一斉「はい」


女の人「mika、行きますよ」


mika「えっ、はい」


よろめきながら立ち上がる


この人は、私のお母さん?


随分と若い


mika「あの」


女の人が振り返る


mika「あの」


女の人「どうしたの?」


mika「お母さん」


「お母さまは、いないでしょ


朝から何、寝ぼけたことを言ってるの


早く支度して学校に行かないと」


お母さんじゃないということは


お姉さんなのかな、この人


協会を出る


女の人がお辞儀をしている


チラッ


あぁ、この場所を出る時はどうやら


お辞儀をするみたい


女の人「ごきげんよう」


「ごきげんよう」


女の人「mikaさん、ごきげんよう」


mika「ご、ごきげんよう」


スタスタスタ

女の人について足早に歩く


「mariaさん、おはよう」


mikaの姉「おはよう、misaさん」


misa「今、お祈りの帰り?」


「えぇ、misaさんも?」


「そう、今週は深水協会なの」


「私たちは来週、深水協会よ」


「そう、ではまた学校で」


「えぇ」


何だろう、何か違和感を感じる


でも、肝心の何かが分からない


ガラガラ

扉を開ける


maria「さぁ、朝ご飯にしましょう」


mika「う、うん」


ピッ

ニュースをつける


おはようございます


今朝の四国地方は久しぶりに青空が広がり


気持ちのいいお天気です


つい先日、四国全域を襲った


大規模な爆発事故ですが


大きな被害もなく


復旧作業は順調に進んでいます


やはりこの場所は神様の御加護のもと


存在しているのだと改めて認識致しました


mika「爆発事故.....」


maria「復旧作業順調みたいね


それにしてもすごいわよね


あれだけの爆発事故だったのに


亡くなった方も地方外の方だけ


だったみたいだし」


「地方外?」


「そうよ、代々四国に住んでいる方は


怪我程度で済んで


不思議なことに外部から来てる人だけが


亡くなったんだから」


そんな不思議なことがあるんだ


「mika、早く朝ご飯を食べて


遅刻するわよ」





in the case of ele


北海道繁華街


女の子「eleくん、バイバーイまた後でね」


ele「えっ」


「どうしたの?


今日も学校サボるなら付き合うよ」


「学校?」


「あははは、eleくん面白い


記憶喪失のフリ?!」


いや、そんなつもりは


純粋によく分からない


「俺の学校どこ?」


「もうっ、しょうがないなぁ


kana が連れてってあげる」


「ありがとう」


「今日はやけに素直だね、かわいっ」


可愛い?俺が?


カバンを見る


優美中学


俺の学校は、ここらしい


ele「あっ、やっぱいいや自分で行く」


kana「どうしてー?」


「kanaちゃんだっけ?」


「なーにっ、よそよそしい


今日のeleなんか変だよ」


「そうかな、kanaちゃんも学校行きな」


「珍しい、eleが学校行けだなんて」


普段、サボってるのか


「じゃあね」


「ele!待って」


振り返る


チュッ


kana「じゃあね〜」


今、キスされた....よな


何がなんだか


チラッ

時計を見る


8時


学校とやらに行くか





in the case of kei


カチカチ


カチカチ


7時


ピピピピピッ


ピピピピピッ


目覚ましが鳴る


カチッ

止める


バサッ

布団をはがす


「keiちゃん、朝だよ


さすがだねぇ、もう起きてるのかい」


kei「うん」


「朝ご飯にしよう」


パジャマを綺麗にたたむ


ファサッ

布団を戻す


スタスタスタ


床に座る


kei「いただきます」


「はい、いただきます」


今、分かった


おばあちゃんと二人暮らしなんだ


隣の和室には父親と母親と思われる


写真が飾ってある


カタッ

醤油が溢れる


祖母「あらあら、大変」


ゴシゴシ

布巾でふく


ゴシゴシ


ゴシゴシ


祖母「keiちゃん、もう大丈夫


机は綺麗になったよ」


kei「うん、手洗ってくる」


「洗っておいで」


ジャー

蛇口をひねる


ジャー


シュッシュッ

ハンドソープを出す


ジャー


ジャー


ゴシゴシ


ゴシゴシ


「keiちゃん、手ももう綺麗だよ」


「うん」


「さぁ、ご飯の続きにしよう」


「うん」


世の中的にはこれを潔癖というのかな


病気という人もいるかもしれないけど


全てがピタッと


収まるべきところに収まって


新品のように綺麗な状態であってほしい


じゃないと、気持ちが落ち着かないんだ






















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