第3話 3.5 dimensional earth

京都


ドカーンッ

地面が爆発する




ドカーンッ





ドカーンッ





ゴホッゴホッ





母親「苦しい」


姉「私たちこのまま死んでいくの」


母親「こうなったらもう


運を天に任せるしかないわ」


姉「mitsuru


あなたを、び、病気だと思い込んで


ご、ごめんね」


ゴホッゴホッ


mitsuru「いいんだ、もうそのことは」


母親「miyabi、mitsuru


今までありがとう


あなた達とい、一緒にいられて


母さん....」





バタンッ

倒れる





mitsuru「母さん!」


姉「そんな」


ゴホッゴホッ


姉「私ももうダメだわ、mitsuru.....」





バタンッ

倒れる





mitsuru「姉さん!」


ゴホッゴホッ


俺もここまでか


ゴホッゴホッ





確かに体調は最悪な状態


酷い頭痛と吐き気、その上フラフラする


が、意識はなぜか今もはっきりとしている


それとももう死後の世界にいるのか


天井を見上げる


ここは、いつも母さんや姉さんといた


居間だよな


確かにいつもと同じ畳の香りが


うっすらとしている


手や足を眺める


まだ肉体もしっかりとここに存在している


一体、どうなっているんだ


母さんも姉さんも亡くなってしまったのに


なぜか俺だけが今もここに存在している


それとも俺は今夢を見ているんだろうか


目を閉じる





東京


ニュース


今後の動向につきましても


新しい情報が入り次第随時


お伝えしていきたいと思います


コメンテーター「Darkウイルスで


世間の話題は一色でしたが


まさかここに来て爆発事故とは


誰が予想したでしょうか」


「未だに信じられません」


「今回の一連の騒動をどう思われますか」


「まだ関連性があるかどうかは


分かりませんが


海外の暴動の件もありますし


何か大きな組織が今の地球に不満があり


圧力をかけているのではないかと


私は予想しているんですよね」


「ほんとにそうですよね


こんなに重なって色々と起きると


切り離しては考えられなくなりますよね」





義母「karenさん」


karen「お母様」


kenji「karenも母さんも


顔色が良くなってる」


karen「やっぱり?」


母親「ここ最近で一番体調がいいのよ」


父親「それは良かった


二人が体調がいいということは」


kenji「地球の状態が


安定したということなのか」


母親「分からないけどここ最近の不安定さは


少し脱したのかもしれないわね」





ニュースをお伝えします


本日、午前11時頃


北海道を始めとした大規模な爆発事故ですが


調べによりますと


現段階では落ち着いているとのことです


ですが、予断を許さない状況ですので


くれぐれも外出をお控えください


被害状況ですが


北海道、四国地方全域、それから京都府で


同様の事故が起きたことが判明しました


信じられないことに


この地域にお住まいの全ての方が


亡くなれられたのではないか


という情報も入ってきます


この件に関しては詳しい情報が入り次第


改めてお伝えいたします





kenji「京都府って今言ったよな」


karen「えっ、えぇ」


父親「貴宝家はどうなってるんだ、まさか」


母親「あの情報だけではよく分からないわ」


父親「貴宝家に連絡をしてみるしかない」


母親「そうね、心配だわ」





RRRRRRR





RRRRRRR





RRRRRRR





はっ

目が覚める


あれから眠っていたのか





RRRRRRR





RRRRRRR





RRRRRRR





ん?電話.....か


mitsuru「もしもし、貴宝と申します」


母親「良かったわ、二階堂です」


東京の二階堂家


mitsuru「お久しぶりです」


「ニュースを見てて少し心配になって」


「あっ、あぁ


もうニュースで流れてるんですね」


「京都で爆発事故が起きたなんて


ニュースで聞いたもんだから


貴宝家の皆さんのことが心配になって」


「ありがとうございます」


「ううん、良かったわ無事で


あなた、もしかしてmitsuruくん?」


「はい」


「そう、良かった無事で」


「お姉さんやお母様もお元気かしら」


「いえ、姉と母親は今日の爆発事故で


亡くなったんです」


「えっ、そんな」


亡くなったんだよな


今も俺の近くに二人は横たわっているが


あれから一度も目覚めることなく


無言のままだ


「じゃ、じゃああなただけ助かったの?」


「....はい」


「なぜ、こんな事になってしまったの


突然のことで私も今、混乱してるんだけど


何かお手伝いできることがあったら


いつでも言って」


「はい、ありがとうございます」


ガチャン





mitsuru

改めて俺だけが生き残ったんだと思い知る


なぜか町全体が異様な空気に包まれている


爆発事故が起きてから


まだ一度も外出していないが


窓を開けても人の声一つ聞こえない


俺だけが生き残ったんじゃないかっていう


感覚になる


いや、冗談ではなく


本当にそうなのかもしれない





ガチャン

電話をきる


母親「あなた、大変」


父親「どうしたんだ」


「貴宝家に今電話したら


息子さんのmitsuruくんだけ


生き残ったみたいなの」


「そう..... なのか」


「ニュースの言う様に


爆発のあった地域の人たちは


一人残らず亡くなったのかもしれない」


「だとしたらなぜmitsuruくんは


生き残ったんだ」


「理由は分からないわ


本人も何が起きたのか


よく分かっていないって感じだったし」


「うちにしても貴宝家にしても


跡継ぎ問題は非常に重要だ


mitsuruくんだけでも生き残ったのは


良かったが


これから彼一人で貴宝家を守っていくのか


それはあまりにも大変すぎる」


「えぇ」





ガラガラ

玄関のドアを開ける


こんな光景を見たのははじめてだ


これは何かの冗談なんだろうか


大掛かりなドッキリをしていて


俺一人だけ


そのターゲットにされたんじゃないかと思う


辺り全体が異常な静けさに包まれている


歩き出す





うわっ





ドキン





死体....だ


さっきの爆発事故で亡くなったのか


冗談なんかじゃない


本当に俺だけが生き残ってしまったんだ


本来、これがもしサバイバルゲームで


俺一人が生き残ったとしたら


俺は両手をあげて喜ぶだろう


でもこれは、架空の世界ではない


現実なんだ


そうと分かった今


自分だけ生き残ったことが悔やまれる





あっ、ここにも


この子はいくつぐらいだろうか


恐らく幼稚園ぐらいだろう


かわいそうに


母親とはぐれてしまったんだろうか





今、京都府には俺しか存在しない


だとしたら


なぜ俺だけが助かったんだ


母さんや姉さんも生き残っていれば


俺らは他の人とは違う


特異な体質なんだと納得がいく


が、俺だけしかいないこの現実を


どう解釈したらいいんだろう


どう納得したらいいのだろう





「......かー」


遠くで声がする





ん?


俺はとうとう幻聴が聞こえるように


なってしまったのか


誰もいるわけないよな





ドンッ

つまづく





こんなところにも死体が


不思議なことに


はじめ見た時ほどの衝撃はない


かといって慣れたわけでもない


しゃがんで、手を合わせて拝む



 


「.....るー?」





やっぱり声が聞こえる


恐らくあっちの方だ


歩いて行ってみるか


どうせあてもなくフラフラ歩いてたんだ


目的ができて良かった





「だれかーー」


女の人が叫ぶ声





あっ


いた


俺以外にも生存者が


信じられない





目が合う





バタバタバタ

お互い駆け寄る





女の人「はぁはぁはぁ


よ、良かった私以外にも生きてる人がいて」


mitsuru「はぁはぁはぁ


君もじゃあ、生き残った人なんだね」


「え、えぇ


家族は全員爆発事故で亡くなったの」


「君もか」


「あなたも?」


「あぁ」


「はじめまして私の名前は安西mikoです」


安西?


あっ、五家のうちの一つの


「俺は、貴宝mitsuru」


miko「えっ、貴宝.....」


女の人がはっとする


「あなたはあの貴宝家の


敬語も使わず、申し訳ありません」


mitsuru「いえ、そんな敬語だなんて」


「いえ、私たちは仕える者ですから」


「そんな気を遣わないで」


「遣います


貴宝家の方々のお陰で


私たちは生活ができるわけですから」


「反対ですよ、五家や十家の方々が


周りにいらっしゃるから


僕たちは生活ができるんです」


「そんなとんでもございません」





顔を見合わせる





フフ

笑い合う




















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