第4話 大学時代
ここからが、また、バカなんですよ。
大学では本当に勉強しました。
親に迷惑をかけた分は絶対に取り戻さなくちゃいけない、俺は勉強するために大学に入ったんだと本気で思っていました。
それに内緒ですが、何とか彼女に会いに名目を作ろうって思いも当然ありました。
当時、親の仕事が好調で、ある程度の年収がありましたので、奨学金はその年収制限で撥ねられましたが、実質、特待生です。
今の就職事情は分りませんが、当時は3年浪人したら、大手企業は書類審査で門前払い。面接など受けさせてもらえませんでした。
しかし、頑張れば、道は開けるんです。
ある会社は、やはり年令制限でダメでしたが、某有名企業に指導教授が「1番ですよ」と電話で押し込み、ありがたいことに就職できました。それも他の人よりも1、2ケ月も早くです。
よし!これで会いに行けるぞ!と名目が出来ました。
でも、遅すぎますよね。私は25歳、彼女は26歳です。どうなっていたか、分かりますよね?彼女はその年の春に結婚していました。
でも、6年振りに会えました。
就職のことを話したら、「所謂〝青田刈り〟ってやつね」って笑ってました。
次に本題ですが、6年前のことを謝りました。せっかくお祝いしてくれたのに、その大学にも行かず、また浪人したことを、謝りたかったのです。
そしたら、「あの高校だから、そんな人もいるのよと、母と話していたわ」と何も気にしていませんでした。
当たり前ですよね。「好きだとか」、「付き合って欲しい」なんて、告白なんか、何もしてないんですから。
お互いにそのことは何も言いませんでしたが、彼女も私の気持ちは分かっていたと思います。
「あなたからの誘いがあって、これまでのことは全て主人に話してきました」
こんなことを言ってくれました。ウソでもいいのです。それでいいのです。
私も、これで区切りがついたと思いました。
バカな話ですね。16歳から25歳、9年間の思い出です。
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