ー タンスの怖いお話。

しばたろー

file 1 : 我が家




「ここが新しい家か…。」




私はそう呟いて、年季の入った家を見上げた。

この夏、私は夢のマイホームを手に入れられて、とても興奮していた。でもまさか…こんな家だとは。


恐る恐る家に足を踏み入れた。

家の中は蒸し暑く、少しカビ臭い。

床は軋むし、シミだらけ。


とりあえず、せっせと荷物を運び込み、一応生活できるレベルには片付けた。

その日の夕食は大盛りのふやけた蕎麦だった。


部屋も割り当て、私の自室は二階の角部屋になった。

夢に待った自分だけの家。

しっかりプライバシーがある自室。

そこはダンボールと敷布団以外何もなく、前住んでいた実家より格段と薄暗い部屋だった。


私は疲れて布団に倒れこんだ。


「(なぜだろう、初めての場所なのになぜか落ち着く…。)」


そして気づかないうちに私は眠りに落ちた。





ー夢を見た。


不思議な夢だった。

タンスが私に話しかけてくる。




『ねぇ、新しい家は気に入った?』





それからというもの、タンスは毎晩のように私に話しかけてくるようになった。


部屋にはいつからか夢に出てきたのと瓜二つなタンスが置かれ、家具も置かれた。



しかし、家がボロいのは変わりない。


キッチンはカルキ臭く、トイレは和式。


「(やっぱりマンションにすれば良かったかな…。)」


そう思い始めたある日のことだった。





ー『ねぇ、家は気に入った?』


今日も彼が語りかけてくる。


私は首を横に振った。


「残念だけど、私には合わなかったみたい。」


そう言い放つと、意識が薄れていくのを感じた。

薄れゆく意識の中、タンスは何かを言いたそうに佇んでいた。





そして次の日、タンスは扉をまるで口のように大きく開けて佇んでいた。


私は何も抵抗することなく、朦朧とした意識の中、その大きな口のなかに引き込まれていくのを感じた。





ー家は空っぽになった。





その日から数日も経たないうちに家の前に1人の女がやって来た。

そしてその女は呟くのだった。





『ここが新しい家か…。』





そして彼は語りかける。





?』





To be continued ….

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