こいびと立候補

勝利だギューちゃん

第1話

「ねえ、○○くんに、彼女いる?」

「いると思うか?」

「思わない」

「喧嘩売ってんのか?」

「そんな商売してない」

「私が、彼女に立候補してあげようか?」

「受け付けていない」

「じぁあ、募集して」

「そのうちにな」

「うん、待ってる」


幼馴染との他愛のない会話。

兄妹同然で育った幼馴染だからこそ、出来る会話。


「姉弟だよ。私の方が月上だもん」


何か聞えたようだが・・・

気のせいか・・・


まあ、同級生なんだからどっちでもいいんだが・・・


「よくない。女性にとって、少しの差も大きいんだよ」


まあ、空耳はおいておいて・・・


【兄弟は他人の始まり】

という、ことわざがある。


本来の意味は、兄弟姉妹でも、家庭を持てば、そっちにいってしまい、

疎遠になってしまうということだが・・・

幼馴染なら、なおのこと・・・


あれだけ仲のよかったあいつとも、高校卒業後は、会わなくなった。


「元気にしているかな」

時々、思いだす程度だった・・・


唄のように、どこかでばったりなんて、展開もあるはずもなく、

非情にも、月日だけは流れていく・・・


未だに独身。

そんな俺を、両親が心配しないはずがない。


ニートではない。

堅気の仕事をしている。


でも、「孫の顔を見せろ」とうるさい・


仕方なく、婚活に行った。

といっても、受付だが・・・


「ご希望のタイプはありますか?」


俺は絶対に譲れない条件が、贅沢にも4つもある。

それを伝えた。

だれも、来ない。


「天真爛漫」

「自由奔放」

「ほうれんそうはかかさない」

「母親と違う名前であること」


これだけを伝えておいた。


数週間後、連絡があり、行ってみた。


すると、懐かしい顔があった。


「約束通り、立候補してあげたわよ」

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こいびと立候補 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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