愚直な貧乏学生が薬死して転生したら人生何か変わりますか?

入美 わき

【序章】貧乏脱却の副作用 第1話



全世界の人々が決して、

いや全世界の男が皆決して避けられないモノ。

それは、

「お兄ちゃん。杯那はいなね、ハンバーグ食べたいっ!!」

十七歳になる愛しの可愛い妹のおねだりである。


心の底から家族を愛するが故に拳を震わせる男が1人、微風でも窓ガラスが揺れる四畳半の部屋に佇んでいた。


男の名は草間くさま ひじり

物語の主人公にしては見窄みすぼらしく、冴えない顔の19歳の大学生。

「おお!!可愛い妹よ、オカラ80%のお兄ちゃん特製鶏肉ハンバーグが御所望ごしょもうとは可愛いやつめ」

長所は思った事を素直に言ってしまう正直者。

「ノンノン!!アイウォントゥ〜ビーフ100%ッ!!それと可愛い連呼しないで恥ずかしい」

短所は想いを伝える事が相手にとって100%良い事ではない、と理解していない所。

兄妹間のやり取りだけ見ていれば可愛いものの、聖のそれは公共の場であっても常時発動特性パッシブスキルなので危険である。

「ははは、ビーフ100%か〜、それは王家の食事級の一品じゃないか〜。……深夜のバイト一つ増やそうかな、あはははは」

そして、草間家最大の状態異常バッドステータス貧乏ボンビーである。

現在の草間家は長男、聖。

長女、杯那。

の二名で構成されており、生活費と炊事を聖が。

洗濯、裁縫を杯那が担って今日も明るく元気に生活している。

胃袋以外は。

「冗談だよお兄ちゃん。贅沢は言わないって約束したもんね!!私は全然大丈夫だから、これ以上お兄ちゃんの生活を大変にしないで??」

「ごめんな、杯那。俺、大学卒業したら目一杯稼いで美味いもん沢山食べさせてやるからな!!」

「お兄ちゃんっ!!」

「杯那っ!!!」

「私お風呂入ってくるね」

「ズコーーーーーーー」

美しき兄妹の愛は兄の方が重く、そして大半が一方通行だった。

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