第14話 腐れ縁が殴り込んできました
平和だ。
あのあと、シャドウが目覚める前に影潜りを限定封印(この森では使えない。影仕舞いは有効)し、起きたシャドウにそれを伝えたら激怒したが、沈静化の魔法を重ね掛けして強制的にとことんもてなして山の入り口に転送した。
「この屈辱は必ず返す!!!覚えてろよ貴様!!!!」
と沈静化の魔法を掛けているのにも関わらず興奮気味に捨て台詞を吐かれたが、本当に来るのかな?
……来そうだな。それが命令なのかプライベートでなのかは分かんないけど。
「あの王様は自分の命令は聞くのが当たり前みたいに思っている節があるからなー、やれやれだ」
瓶の中が日の光を反射してキラキラと光っている。中にはいつぞやの魔力核だ。いい感じに浄化され、まっさらになっている。
その中に僕の髪を一本入れると、たちまち魔力が溶け出して馴染んでいく。
「いい子に育ってねー」
もう数え繰られないほどこなしたこの作業だが、やっぱり楽しい。
使い魔は50体作ったけど、それ以外の人工精霊もたくさん作ったからもはやこの作業はライフワークだろう。
初めて作った人工精霊であり、使い魔のメナードの事を思い出す。
今ならもっと凄い機能を付けられたはず。
そのうちアップデートみたいにメナード強化しようかな?
あーでもメナード自分でなんでもできちゃうから余計なお世話かな?
今度訊ねてみよう。
「ウィルッ・ザーーーーートソーーーンンッッ!!!!!」
「おや?」
なんだか懐かしい声だ。
ドッゴン!!!!と結界に攻撃が加えられた。
揺れる結界。
使い魔がどよめいている。
「てっめええええ!!!!この裏切り者がああああ!!!!」
鼻歌混じりに窓を開けて空を見ると、結界から煙が上がっている。
ありゃ、三層の内二層突破されてる。びっくり。
「…こんなこと出来るのは今んところ五人しか知らないけど、多分アイツだろうなぁ」
空を探してみると、僕と正反対の色彩を持つ腐れ縁の友人が空に浮かび、超巨体な槍を造り出したかと思えばこちらに向けて構えた。
あれ?髪の毛バッサリ無くなってる。勿体ない。
てか、あの魔法、超上位のゴッズクラスのグングニルじゃん。
しかも三つも必中効果の魔法陣付けてるし。
「ふつう友達に向ける?アレ」
笑うんですけど。
あれさ、通常ならゲームのボスに向けて放つ奴だよ?
町の一つや二つ簡単に消し飛ぶやつなんですけど。
「もう堪忍袋の緒が切れた!!!このまま消し飛べ!!!!」
わーお、物騒な事言ってる。
グングニルが発動し、空に雷雲が立ち込めて槍に向かって雷が巻き付いていく。
手加減なしですか。
『ウィル様敵襲です!!!』
珍しくメナードが慌てふためきながらやって来た。
そうだろう。何て言ったってこの僕の結界が半壊させられたんだから。
「うん。分かってるよ。じゃあ友達迎えに行ってくるね」
窓から外に出ると、彼の姿が良く見える。
何年ぶりだっけ?懐かしいな。
「喰らえ!!!ダウンライ──」
「鏡返し」
結界と彼の間に超巨大な鏡が出現。
「!!!!???」
突然のカウンター魔法の出現に回避行動をしようとしているけど、彼のその魔法、発動したら途中で中断できないんだよね。
「てい」
彼を指定して転送すると、鏡の中のグングニルと正面衝突を起こし、グングニルでの最大魔法であるダウンライトニングバーストは相討ちになり、消滅した。
ちゃんと周りに結界張ったから付近の村や町は無事です。
攻撃を仕掛けてきた彼が使い魔に囲まれながらも庭で怒気を撒き散らしながら僕を凄い顔で睨んできている。
まったく、怒りっぽいんだから。
「久しぶりだね、マジリック・シャンソン」
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