世界最強の大魔術師ですが、自分の為に生きたいので魔王討伐の依頼をしないでください
古嶺こいし
第0章、魔王討伐依頼?NGワードです
第1話 プロローグ
僕はウィル・ザートソン。しがない魔術師である。
「おお!!貴殿が噂の大魔術師ですか!!」
嘘つきました。
僕はウィル・ザートソン。世界でも有名な大魔術師です。
“光の魔術師”“神に愛された子”“精霊の伴侶”などの様々な称号を手に入れた幸運値EXの人間です。
詳しいことは省きますが、実は僕転生者なんです。
生前はいわゆるブラック企業という所に勤めていたんですけど、何の手違いか隣の席の奴と名字と名前が似ていたせいで神様が間違えて僕の方に死神派遣してきました。
笑うよね?
で、間違えて死神送られて、しかも死因が巻き込み事故で亡くなったので、間違いに気付いた神様からお詫びでプレゼントをあげると言われたんです。
その時僕、約半年休みなくて頭朦朧としてたんですよ。あんまりにも眠くてね。
だから何を寝惚けたのか。
「めっちゃやばいくらいに運の良くて最強の凄い大魔術師になりたい」
とか抜かしたんですよ。
理性蒸発してIQ5並のやばい願望。
ドラえもん欲しいの方がまだ良かったかもしれない。
俺の考えた最強の主人公かっての。
で、何を思ったのか神様も「いいよ!」の一言で承諾しちゃったわけ。
今思えばおかしいだろ。僕も神様も。
そんで神様が「魔術師になりたいのなら別の世界に転生させてあげるね」って。
気が付いたら赤ん坊になってました。
かっこ笑い。
という感じで、色々ありましたがこうして無事世界最強の大魔術師になったわけです。
で、それなりに頑張って自分の楽園作り上げて悠々と森の中でモフモフに囲まれて暮らしていたんだけど、突然王国から使者が来ました。
目の前にいるこの人ね。
騎士の格好してる人筆頭に魔法使い数人パーティー。
せっかく引きこもり生活満喫していたってのに、何の用だか知らないけど邪魔しないでほしい。
でも一応返事はするか。
「知らないです。多分僕じゃないのでお帰りください」
めっちゃ笑顔でそう言った。
いきなり喧嘩腰でやって剣を引き抜かれても困るしね。
なのに、使者は「いえいえ何をおっしゃいます」と引き下がらない。
「その美しい空色の髪、深い森のごとく神秘的な緑眼を持つ御仁は、神に愛された人、ウィル・ザートソン以外あり得ません」
おやおや、凄く誉めてくれるじゃないか。
男に褒められても何もあげないけど。
「なかなか嬉しい事を言ってくれますね。確かに僕がウィル・ザートソンです」
「おお!やはりそうでしたか!いやはや、こんなに森の奥深くに暮らしておられるものですから、探すのに苦労いたしました」
「そうですか。それはご苦労様でした」
人に会いたくなくてこんな山三つ越えた森の中で暮らしているんだけどな。どっから情報が漏れたんだろう?あとで調べないと。
「それで?まさか僕を誉めに来た訳じゃないんでしょ?用件は何ですか?」
いい加減会話するのがめんどくさくなって促した。
すると、使者の目がキラリと光る。
「大魔術師様!!国王様からのお願いです!!どうか復活してしまった魔王討伐メンバーに参加していただきたく──」
「NGワードですお帰りください」
軽く手を振る。
すると使者の体が透けてブレた。
「お待ちくださいまだお話が──」
後ろの魔法使い達が転送魔法に抵抗してたみたいだけど、そんな力で僕の魔法を止められるはずがないじゃないか。
使者達が山の入り口まで強制送還されたのを確認してから、僕は使者達のいた場所に塩を撒き、ハーブティーを淹れて一気飲みした。
「全くもう。僕は自分の為に生きたいんだ。魔王討伐のために人と行動するなんて絶対嫌だね」
100万あげると言われてもヤだ。
一億ならちょっと考える。
「大福ー!!僕居なくなったら寂しいもんねー!絶対に行かなーい!僕の魔法は僕の為に使うんだ!」
ソファーで寝ているふわふわの猫(大福)のお腹に顔を埋める。
絶対にここから動かない!!天国から出ないぞ!!
僕は優雅に引きこもり生活を堪能するんだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます