第19話 王都到着

 あれから何度も休憩を挟みつつ、しかし出る敵といえばスライムばかりで三回目のエンカウントで飽きてしまった。


 そして予定より二日程遅れて王都に到着、普通なら四日ほどらしいが多分俺に気を使って休憩を多目にしたせいだろう、中々出来るおっさんである。


 俺が犬の中でも小さいせいか王都が物凄く大きく感じる、既に門がでけぇー人の列もなげーこれ入るのに何時間かかるんだろう?人間じゃなくなったので丸まってふくよかなセリのおっさんのお膝で寝る、おっさんのお膝でとか誰得だが堅くないのがいい感じだなのだ。


 気がついたら日も落ちて薄暗い、すっかり寝てしまったようだ、その間にもう門の中に入っていた、テンプレの門でのひと悶着でも、と思ったが犬なので超スルー余裕でした。


「起きました?これから私のお店へ向かいますね?城下町は騒がしいですが危険はありませんよ」


 馬車で城下町を闊歩する、街中は確かに賑やかだ、だがそれがいい、異世界が詰まっている、ケモミミも居るし派手な緑色の髪やピンクの髪まで、露天で売っている見たことのない食材とか、とにかく面白い。ちなみに既にゲージからは出されていて、おっさんのお膝でキョロキョロ見物、おのぼりさんかっつーの。


 おっさんの店は結構大きい、周りのお店の規模を考えると人も多いし繁盛もしている、俺を抱き抱えてお店のへ入ると従業員だろう店員が挨拶をしてくる、ついでに腕に居る俺をチラッと見てくるがなにも言わずすぐに接客へ戻る、プロだな、だが耳のいい俺には聞こえたぜ、小さな声で「可愛いと」ふはは、だろう?


 所でソロソロ何で俺が王都に来ることになったのか教えて欲しい、馬車の旅中では理由は聞けなかったし本当にメグちゃんの所へ帰れるのか不安だ…


 店の奥へ入ると休憩室のような所へ、休憩中だろうか女性の店員さんが椅子で寛いでいる。


「セリさんお帰りなさい、お疲れ様です、その子どうしたんですか?可愛い子ですけど売るんですか?」


 うおい?物騒な事言うんじゃありません!


「はは、ただいま帰りました、売り物ではありませんよ?お預かりしてるんです、明日王城へ行きますので支度の方おねがいしますね」


 え?


「王城ですか?分かりましたお連れはどうしましょう?護衛は要りませんよね?」


「ええ、私だけで大丈夫ですから支度をお願いしますね」


 あ、おっさんだけなのね?びっくりしたー


「あ、この子はきゅーちゃんと言う名前なんですけど、洗っていただけますか?」


 俺そんな汚くないぞ!メグちゃんが洗ってくれてるからな!…でも旅で確かに埃っぽいかも


「はい、わんちゃんー綺麗綺麗にしようね?」


 優しくしてね?

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