エピローグ
ああ、ついにこの時が来たのね。
四世紀近くも生きていれば自分の死期もなんとなく察することができた。
朽ちかけている庭のツバキが私を迎え入れてくれるように枝を伸ばし、朱や白斑の花を咲かせている。
今はまだ夜明け前のはずだがツバキの花達にほんのりと明かりが灯っていて今まで見た中で一番美しく幻想的に咲き誇っていた。震える足に力をいれて木の元へと歩み寄る。
ねぇ、亮太。私は今まで幸せだったよ。長く生きている間に辛いこともたくさんあったけど、孫や曾孫その先までもの顔をみられて、貴方をずっと見続けられて、見守られ続けて、本当に幸せな人生だった。
樹の幹に寄りかかり座り込めば近くに枝が伸びてきて大輪の真っ白なツバキが咲いた。
「.......綺麗ね。綺麗だね亮太。大好きな貴方と最期までこうしていられたのが一番の幸せよ。ありがとう。お疲れ様」
おやすみなさい。
あつい何かが頬をつたった。ポトリポトリと花が落ちていくのを視界の隅にいれながらやがて私は覚めぬ眠りについた。
叶うことならまた貴方と.............
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