2019/08/25(日)

 今日はショッキングな出来事が二つあった。二つ目は、今日初めて会って話した人に「人のことに興味がないのが話していてわかる」と言われたことで、一つ目もそれに関連しているが、少しプライベートなことなのでここで書くのは控える。私としては、その人と積極的に関わろうとしているつもりだったのだが、向こうからしたら全然そんな感じはしなかったらしい。しかし考えてみれば人に興味がないのは昔からで、私は本ばかり読んでいた。

 それで自分が村上春樹の小説の主人公になった気がした。村上文学を解説するのによくデタッチメントという言葉が使われる。要するに、村上春樹の小説の主人公たちの多くは、人間関係に対して冷めた態度をとっているし、たまにそのことを周囲の女性に指摘される。そういうところへの共感も私が村上春樹にはまった要因の一つだ。

 しかし村上春樹の小説を読む人は、みんなそういうクールな態度に共感しているのだろうか。そうではない気がする。先の言葉を私に投げかけた人はまた、「でも人のことが気にならないのは一つの才能だと思うし、羨ましい」とも言った。これは想像で言うしかないのだが、人間関係に対するクールな態度への憧れを持つ人たちが、村上春樹の小説の主要な読者層なのかもしれない。

 村上春樹の小説の主人公におけるクールな態度は、村上の登場時には批判の対象になった。村上自身もそのことを気にしているのか、そうしたクールな態度を乗り越えて行こうという努力を小説の主人公にさせることが結構ある。しかしそうした表現が必ずしもうまくいっているわけではないように思われる。

 結局、われわれ一人ひとりの人間関係に対する態度というのは、生まれつきの性格とかこれまでの経験を通じてある程度凝り固まってしまったもので、そう簡単には変えられない。しかし小説を書く上では、物語の中に色々な性格の人を出す必要があるし、そのためには自分以外の人が人間関係に対してどんな態度をとっているかということを学ぶのが大事かもしれない。

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