第62話 新しい恐怖が始まる……

 あー! 『二ノ国』プレイしようとしたら、システムソフトウェアのアップデートが始まっちゃった! あとどれぐらいかかるんだろう……。


 ――いーじゃんいーじゃん。ろくに考えずにやったんでしょ。


 表示が出たときにインストールしないと、忘れちゃうし。あ! 画面消えた。再起動かな? しばらくお待ちくださいって出た。アップデートファイルのインストール中ですってさー。あれ? また。あ、PSのマーク。無事だ。……アプリケーションをコピー中ですって。今洗面してきたんだけど、まだかなあ? バーがキランキラン光るばかりでなかなか進まないんだよね。ウェッフ! ウェフ!(咳き込んだ)今夜は熱帯夜ですかね……クーラーと扇風機入れましょかい。


 ――どこの言葉?


 うへへっ。年よりくさく言ってみました。


 ――やる気ないでしょ。


 <二時間後>


 いやー『二ノ国』楽しかった。やさしいモードでやってたせいで、そもそも魔物とエンカウントしないからレベルUPのチャンスがなくて。滝の回廊で森のヌシに二回も全滅させられて……あわててとって返して、森の中でレベル上げにいそしむことになりました。


 ――修行。


 体力ゲージが無限にありそうなヌシさま。なんで魔法もろくにもってない、主人公の前に現れる……疑問に思ったので、大技20ポイントダメージを2、3回くらっても生きのびられる程度(LV.6)にレベル上げて、再々チャレンジしたけど、守りに力を入れたら、ダメージ1とか。くらっても9とかでしのげた。レベル上げ大事。


 視界が白くかすむ中、ダイエットしすぎかとか、白内障の兆候かと鏡をジックリ確認。うん、夜更かしのしすぎ。

 こりずに『逆転人生』観てるけど。

「ものづくりのよろこび」は「いいものをつくって、ありがとうと言ってもらえることだけ」だと言っていた。なるほどなー。

 鍋開発に3年、試作1万個でようやく成功。無水調理でニンジンがおいしくなる完全密閉のホーロー鍋。(お値段いくら?)

 ちょっとうまくいきかけたところで、アメリカのリーマンショック、経済大不況で週に2日の仕事しかなくて、離れて行った職人さんたちが、開発者兄弟の姿勢を見て、帰ってきてくれる。それに、鬼門と言われたホーローの焼き付けに、厄介な金属(バーキュラー鋳鉄)との出会い。データを集め、「行こう、兄さん!」「いや、まだだ」アクセルとブレーキの二人が同時にGO! を出したとき、奇跡は起こった……。


 こう書いていて、右目が痛い。眼球がチクチクと。

 ゲームは終了だな。



 ――さようなら。


 ――クトゥルフ共和国のみなさん、さようなら。


 もっと濡らしてほしかった。


 ――まだ濡れるの? 全部濡れるの? クトゥルフ共和国のみなさん、お待たせしました。生贄のパーティーにようこそ。血の生贄よ。ようこそ。我々はクトゥルフ教団。人呼んで化物。おぞましき巫女よ、ようこそ。みなさんの前で、造反の罪を認めよ。


 はい。認めます。


 ――共和国のみなさん、同じことにならないように、クトゥルフ共和国のみなさん、精神値チェックしてください。


(一斉に)


 ――3! 精神値3!


 ――チェック! チェック!


 そもそも傾倒してなかったら、造反ということもないわけで、造反するような仲間を引き入れたことに非があります。


 ――それを言うなら、造反するなら仲間にならなければいいという話だけれど……メランコリー。……いじめられたから、造反したと言っていた。いじめられても仲間とは言えるけれど、村八分みたいにしてた感じだし、造反というより歯向かったっていうほかないね。


 クトゥルフ! クトゥルフ!


 ――造反の後の、信徒表明?


 ――<新しい恐怖のはじまり>完!

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