第8話 レトロ感

 今、CD音楽で、『モアナと伝説の海』をエンドレスリピートで聞いてます。


「涙姫におくりもの」を書けるといいんだけれど、これでディズニーに似てしまったら、




「影響受けすぎ。プッ」




 って言われること必至だし、そこまで似ないとしても、ちょっとでも似たところがあるなら、それはそれで光栄だとも思うし、それじゃいかんとも思える。




 幸せな悩みだ。




 まだ、まるっきり手をつけていないこの物語は、プロットにするうえで何度も完結している。


 だから、いまさら手をくわえようとも思えないのだ。


 苦労したプロットだから。


 これから、どう動き、動かせるかという、可能性の幅が少ない。




 別に、自分のプロットが完璧だから、推敲の余地はないとか、そういうことではなくて。


 私は自分の才能の限界に、少なからず落胆し、失望しきっているのだ。




 思えば、私の人生は、作文が書けないところから始まった。


「作文にかけないことばかりだった」と言い換えてもいい。


 そして、拙い言葉の断片をつなぎ、詩を書いてみたりもした。


 そこからだったのだ。




 私の人生は。




 だから、完璧であろうとする努力は必要かもしれないが、私にはほとんど無意味である。


 専門学校へも行ったし、そこでプロットの書き方をおぼえた。


 その時期書いた、短編らしきものが、少女小説の最終選考に残ったらしい。


 なんだか、知らないが。




 なんの連絡もなく、雑誌に名前と短いコメントが、書いてあったのだ。


 わかりづらい。


 のちのち、デジタル化した雑誌だ。


 それで、KADOKAWAのカクヨムに来る気になった。




 前情報は皆無だ。


 WEB小説など書いたためしもない。


 いや、ケータイ小説を書こうとしていたときもあった。


 あれはあれで、貴重な体験だったと思っている。




 コミュニケーションが苦手でね。


 好きになった作品に、ページごと、ワンセンテンスごとの感想を逐一入れていたら、ある日、その作家さんの友人だという人が私のメッセージ欄に現れて。


 初のコメントにドキドキしたけど、ご用向きはうがった意見の押しつけだったんで、通報して、その作家さんの本をすべて捨てた。


 気に入っていた作家さんだっただけに、ショックだった。




 私はそういうところがある人なの。


 あまりに強いショックを受けると、瞬時に豹変してしまう性質なのよね。


 若かったわ……。




 黄昏れている場合ではない。


「涙姫におくりもの」はあまりに古いプロットで、現物がない。


 頭の中にだけあるのだ。


 どうしたらいい。


 わからない。




 とりあえず、気力がわいたときに、書きだすだけ書き出して、後でまとめよう。


 今日は、熱帯夜だ。


 今21:45だが、すでに蒸し暑いし、蝉も遠慮なく鳴いている。


 夏たけなわだ。




 死にそう……。


 これ以上頑張ったら、熱中症になってしまう。

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