ばんす、ばんす

 ある中学生は、体育館の七不思議を試してみた。


「体育館倉庫が勝手に開いてバスケットボールがたくさん飛び出し、バウンドし続ける」

 



 体育館に入った瞬間、倉庫の扉がギーッと開いた。


 ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす


 鮮やかなオレンジ色のボール。40個近いそれらが、次々飛び跳ねながら出てくる。

 あっという間に、体育館中に散らばった。


 ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす


 あんまりリズミカルで楽しくなってきた。

 スマホはカメラを外側に向けてポッケにしまい、近くを跳ねるボール一つを手にした。


 ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす


 自分自身もぴょんぴょん跳ねながら、手にしたボールもバウンドさせる。


 ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす、ばんす


 愉快で愉快で愉快だった。


 ふと気付いたら、校庭に面する大きな窓から朝日が差し込んでいた。

 もう帰らなきゃ。

 手元のボールに目をやった。


 なんてこったい! ボールは自分の頭だった!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る