時に拷問

勝利だギューちゃん

第1話

女子と肩を並べて歩く。

思春期の男子なら、誰もが夢見る事だ。

俺も例外ではなく、一度も夢見たことが無いと言えば、ウソになる。


今。俺はそれを現実の物とし、ある場所へと向かっている。

デートといえば、聞えはいいが、そんないいものではない。


言っておくが、今俺の隣にいる女子は、ブスではない。

むしろ、100人いれば全員が、美人と答える。

性格も、フランクで悪くない。


この子を、嫌いな人はいないだろう。


だが、趣味が食い違えば、例外なわけで・・・


「何ぶつくさ言ってるの?」

「状況説明だ」

「誰に?」

「知らん」


この女子と、あるかけをした。

それは、置いておくが、俺は負けた。

そして、そのために、一緒に歩いている。


ある場所へ、向かうために・・・


「さあ、ついたわよ。ここが○○球場」

「そうなんだ。初めてきた」

「約束だから、応援してね」


この女子は、この球場を本拠地としている、プロ野球チームのファンだ。

よく、観戦に行っているらしい。

ファンなのは、知っていたが、ここまでとは・・・


で、何が嫌かというと、俺はこの日の、このチームの相手チームのファンなのだ。

子供の頃からのファンで、ファンクラブにも入っている。


つまり、裏切り行為になるわけだ。


「知ってるよ。君が相手チームのファンだということを」

「なら、なぜ連れてきた?嫌がらせか?」

「うん」


即答かよ


「どこ行くの?」

「向こうに回る」

手を掴まれた。


「だめ。ペアで買ってあるんだから、観念しなさい」

「やだ」

「男でしょ!」

「関係あるか」

「いいから、来るの!」


いざという時の、女は強い。


仕方ない、大人しくしておこう。


「応援しないと、後が怖いわよ」


拷問だ。

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時に拷問 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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