第119話 後ろから見えるもの。
・・・・こうして、私と先輩はそれぞれ車に乗り込み、赤城山頂上の砂利の駐車場を出て、昔よく走った赤城道路の方へと向かった。
先を行くのは、私の乗るミラージュ、そしてその後ろから先輩のS2000が連なる格好で、どんどんと進んでいく。
「いやあ、なんだか懐かしいなあ。この感じ。 ・・・・ミラージュ君も調子いいみたいだし、楽しく走っちゃうか!」
なんて、車内でぼやいていた。
一方の上原先輩も、S2000を赤城道路の方へと進ませながら、こんな事を考えていた。
(こうして凛子ちゃんと走るのは5~6年ぶりになるのかあ・・・・ まあ、軽く流すだけだからあれだけど、今更こんな流したところで思い出したりなんかするもんなのかな・・・・ま、ほどほどにいくか)
案内所を過ぎ、日本一小さなスキー場と呼ばれるスキー場の横を通り過ぎ、どんどんと行くと、昔スタート地点にしていたブレーキテストの看板のところまで、あっという間に来た。
「おっし、ここからちょっとペース上げてくか!」
私はミラージュのギアをダウンシフトして、少し多めにアクセルを踏み込んでいった。 1.6リッターMIVECエンジンは軽快なサウンドを奏でて、ミラージュの小さな身体をグイグイと前へ進めた。
そして、一つ目のカーブへとそっとブレーキングして、アプローチをしていき、スムーズに抜けていった。
この一瞬がとっても気持ちいい。それほどペースを上げてはいなかったが、それでもクルマと心を通わせて、思った通りのラインをトレースして走り抜けるのは、この上ない楽しさがあった。
さて、次のコーナーも気持ちよく抜けるぞ・・・・!と意気込み、凛子はミラージュをどんどん走らせていた。
・・・・そして、その頃上原先輩は、後ろで色々な思いを交錯させていた。
続く。
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