第22話 いざ筑波へ!?サーキット走行会その7

そして昼休みが終わり、いよいよ午後の部が始まる。 私もすぐにヘルメットを被り、シューズを履き替え、GTOに乗り込みコースインした。

後半になると、他の方々もかなり慣れてきていたようでコースの流れも速くなってきていて、よりレベルの高い雰囲気になってきた。私も段々とテンションが上がってきて、周りに負けないくらいにペースを上げて(最後の1ヒートに思いきりいく為押さえてはいたが)一周一周を走っていた。そしてユリ、先ほどレッスンに付き合った莉緒も午前とは見違えるほどの走りをしていた。二人とも、このヒートのうちにベストタイムを次々更新していた。

午後の3ヒート目が終わるとまた三人で集まり、また会話に花を咲かせていた。

「へへーん、凛子ちゃんに教えてもらってから毎周のようにベストタイム更新しちゃった♪ なんだかすっごく楽しくなってきたよ!」


「確かにあんた、このヒートからやけに速かったわよね・・・・。最初はバンバンぶち抜けたのにこのヒートだと追いついても中々抜きにかかれなかったもの。実は結構センスあるんじゃない・・・・?」


「確かに莉緒は一気にレベルアップした感じがするよね~。まあ、莉緒もスピード慣れしてないってだけで元からラインどりとかも綺麗だったし、素質は確かにあったと思うな。正直ユリより運転は丁寧だったし(笑)」


「凛子ちゃんに褒められた、やったー!!」


「って凛子何シレっとdisってんのよ!!」


「え、別にdisったわけじゃ・・・・。ま、まあ次の最後の1ヒート、お互い全力でいけるように頑張りましょ!!」


「・・・それもそうね。お互い、悔いがないよう最後も全力でいきましょ!」


「「「おーーっ!!!」」」


ということで最終ヒートがとうとう幕を開けた。 私は今まで温存していた部分を全て解放するかのようにGTOを思いきり攻めたてた。コーナー侵入も綺麗にアプローチし、コースの幅を目いっぱい使いコーナーを立ち上がりアクセルを全開に踏み込む・・・・。


無駄な動きをせず、しかし大胆にGTOを私はヒート終了時間まで全力で操った。


最終ヒートも無事終わった。莉緒もユリも全力を出し切ったようで、車から降りて暫くしても肩で息をしているようだった。私も中々クタクタになった。


そのまま片付けをある程度した後、閉会式が執り行われ、ベストタイム賞の発表があったのだが、そこでも思わぬ事態が起きた。


「えー今回の走行会のベストタイム賞なんですが・・・この度受賞したのは、三菱GTOに乗っていた篠塚凛子さんです!!おめでとうございます!」


「え!?え!?私!?あ、えと・・・ありがとうございます・・・・。」


「ちなみにベストタイムは1分03秒36です! 今回ぶっちぎりのタイムでした! そして賞品として、オイル交換5回無料券を差し上げます!!」


会場が拍手で包まれたが、飛び入り参加に近い私がこんな賞を取るのはなんだか申し訳ない気分だった。


「・・・・なんか本当に私がもらっちゃってっていいのかしら?」


「いーの、いーの!正真正銘一番速いタイムで走ったのは凛子ちゃんなんだしさ。 ぜひぜひパジェロエボのオイル交換の時にでも使っちゃってよ!!」


「ありがとうね・・・莉緒ちゃん。」


そしてユリがそっと話を振ってきた。


「・・・・それにしても、サーキットがこんなに楽しいところだなんて思わなかったわ・・・・・。また、三人で来てみたいわ。」


「そうね。また、私と莉緒とユリでいきたいね。」


「うん!あたしもすっかりハマっちゃったし、また三人で来たいね!!」


三人の楽しそうな話声は、筑波サーキットにまだ暫く響いていた。


続く。

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