第13話 NXCDにチャレンジ!!前編

「うわあ・・・・本当に来ちゃったな。 しかし実際来てみると凄い和やかな雰囲気とどこか緊迫した雰囲気が。・・・・昔ラリードライバーやってた頃を思い出しちゃうな~。」


そう、以前涼から聞いたNXCD第二戦に結局私もスポット参戦することにしたのだ。

私自身も本当に出るかどうか凄く悩んでいたけれど、涼から強く推されたのと、私自身ちょっと心のどこかでまた競技をやってみたい気持ちがうずいていたのもあって今回参加を決めた。

NXCD(日本クロスカントリーダートチャレンジ)について詳しく説明すると、パジェロやジムニー、ランドクルーザーのような俗に言うオフロード向け4WD車で、ダートコースを一台ずつ走り、タイムが最も速い者が勝者という単純明快なものだ。また、クラスが細かく分かれていて誰でも車とヘルメット等を揃えてしまえば気軽に参加できる門が広い競技だ。



私が参加するのはNクラスという、ほぼノーマル車で走る人のクラスで出ることになった。ちなみに、涼が参加しているのもこのクラスだ。(涼の場合はショップとの名義で出るらしいが。) クラスは全部で4つあり、下から練習走行をメインにしたBクラス、改造範囲が一番狭く、一番参加者の多いNクラス、ロールケージが組まれ改造範囲が広がるPNクラス、そして改造範囲無制限の競技専用車で競われるアンリミテッドクラスとある。


エントリー台数もそれなりに多く、パドックには参加者の車やショップのブースが立ち並んでいて、正直それを見ているのも楽しかった。 私と同じパジェロや、パジェロミニ、スズキのジムニーやエスクード、トヨタのランドクルーザーなどバラエティーに富んだ車種が揃っていて、しかもショップのデモカーともなると半ばラリーカーのような高価なパーツや本格的な改造を加えられていて、思わず見入ってしまった。


また、パーツも豊富に展示・販売されていて特価品もあったので思わず飛びついてしまいそうだった。(とりあえず今回はスルーしたが・・・・。)


とりあえずわからないことだらけなので、涼に説明を色々受けながら手続きをしたり、競技の流れを説明してもらってたりしていた。本当に助かる。


「じゃ、これから車検と練習走行があるからその後またゆっくり話そうね!!」


そう言って涼は愛車とRADIUSのあるブースの方へ走って行った。


「さて、私もぼちぼち準備するか。」


私もパジェロエボの元に戻り、準備をすることとなった。


車検では、車が規定にきちんと則っているか、安全装備がしっかり備わっているのかをチェックされる。無論、私はあっさりとクリアした。


そして車にはボディサイドに養生テープでゼッケンが付けられるのだが、この付けられた姿がまた何ともカッコよかった。やはりパジェロエボはこうして競技をするような姿もカッコいい。正直愛車のこの姿を見るだけでも興奮ものであった。


そしてこの後すぐに練習走行が行われた。いつもより人が多いので暫く長く待った後、私の番が来た。 スターターの人の掛け声とフラッグの振りと共にスタートする。


3、2、1、スタート!!


掛け声と同時に私はフルスロットルでスタートした。 ガガガっと四輪を強く蹴りだしながらパジェロエボは力強くそのボディを前へ前へと進めた。


なんだか前より身軽になってきた気すらするほど、パジェロエボは軽快に土の上を飛ばしていけた。 コーナーでもスルッと向きを変えてくれるし、エンジンも元気よく回ってくれるし・・・・。絶対的な車重が重いのでブレーキがもっとしっかりしてくれたらな~と思いながらも、練習走行は順調に進んだ。


練習走行が終わった後、私は涼とお茶を飲みながら談笑していた。


「ねえねえどうだった? あたしが見る限りかなりハイペースで走ってたみたいだけど。」


「うん、凄く順調だったよ。車の調子も抜群にいいし、私も気持ちよく走れたし、練習走行だってこと忘れて本気走りしそうだったよ(笑)」


「ははは。それならよかった。 あたしも今日は順調だったよ。お互い本番が楽しみね。」


「そうね、ポテンシャルをフルに出し切っていけたらいいな~。あ、もちろんそれなりに車はいたわるけどね。」

そんなことを話して笑いながら休み時間は過ぎていった。 もう少ししたら本番だ。気を引き締めていこうと思う。



続く。


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