第4話 思い通りにはさせない。
「変われって言われてもどうさればいいんだよ。」
彼女は、考える仕草をする。
「うーん、性格を変えて欲しい。だから、もっと捻くれないで素直になった方がいいと思う。」
と、彼女なりに話した。きっと、俺に分かりやすいように伝えたのだろう。それは、俺にもしっかり伝わった。なぜなら、自覚はあったのだ。彼女の言う通りだった。
「俺は、上野の言う通りだと思う。」
彼女はニコッと笑った。
「私は、葉月君の正しい姿が見たい。」
俺は、正しくないのだ。正しくなれないのだ。小学生の頃の古傷が未だに痛む。
「葉月君は、誰かに告白して振られたことがあるでしょ?」
と、まるで間違いはないという自信にありふれた顔で俺の顔を見つめる。
「だから、私から言う。」
その言葉を聞き、思考停止してしまった。しかし、ハッと昨日見た青春ラブコメの本の名言を思い出した。「相手の思い通りになっては一生、相手の思うままになってしまう。」と、俺の口は彼女が開こうとしたのを遮り、
「上野、俺はお前が好きだ!性格が変わった姿を見てほしい。だから、俺と付き合ってくれ。」
俺の鼓動が早くなった気がした。心臓がドクンドクンとなっている。痛いくらいに鳴っている。呼吸するのがつらい。
「いいよ……。」
小さな声で彼女は呟いた。
「え?」
「いいよって言ってるの。」
こうして、今日という日。俺は反逆性の非リア生活を覆したのだ。
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