第2話 放課後
チャイムが鳴り、帰りのホームルームが始まった。
「みんな、席につけ。」
「日直、明日の確認等よろしく頼む。」
トコトコトコと、上野一織が前に出る。そう言えば、今日は日直だったな……。
「起立、気をつけ、礼、着席。」
と、一連の流れを終え次に、明日の時間割を確認した。
「何か、連絡はある方はいませんか。」
目が合った。俺に何かを訴えている目だった。
俺はその意味がわからないまま、目を逸らしてしまった。
「では、先生のお話です。」
俺の横を横切った。そして、席に着いた。
俺は、先生の話など何も聞いていなかった。気づいたら、掃除の時間になっていた。今週は、俺は掃除班であった。こういうのはリア充が彼氏と彼女でするべきだと思う。
「葉月君、席前にして。」
はっ、と気づいた。俺と上野は、掃除班が一緒だった。この気まずさに耐えることが出来ない。
「ねぇ、聞こえてる?掃除、早くしてよ。」
好きな女子と二人きりで掃除はリア充がするべきであると思ったばかりだ。突拍子もなく起こっては、動こうにも動けない。さらに、声も出ない。
「これだから、葉月君はリア充になれないんだね。」
俺はリア充という言葉には全人類の中で敏感な方である。いや、鈍感なのかも知れない。だが、好きな女子に言われては、さすがに俺だって動くに決まってる。と、思ったが金縛りにあったかのように動くことが出来なかった。
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