カッコつけてたら女神に嫌われて言語理解さえ取得させてもらえないまま異世界に転移させられたクズの話
@to-funonimono
第1話
「ねぇねぇ君可愛いね。お茶しに行かない?」
「ちょっと、そういうの困るんで!」
俺の名前は タナカ シュウ 高校生
今 俺の目の前で金髪ツインテールの女子高生がチャラい男にナンパされている。
女子高生の名前は タカハシ ヒカリ 俺の幼馴染で、ツンデレである。
まだどちらにも気づかれてない。見なかったことにしようか。
あ...ヒカリと目があった。
助けてやるか。可愛い幼馴染を見捨ててしまうほど俺はクズじゃないからな。
「おい!こいつ俺の彼女。なに人の女に手ぇ出そうとしてんだよ!」彼女ではないがそう言った。これで大抵のやつは追い払える。ヒカリの方を見ると真っ赤に頰を染めている。
チャラ男が少し焦って聞いてきた
「え?ほんとに!付き合ってる人いたの?」
そしてヒカリは 声を張り上げこう言った。
「べ、別にシュウのことなんか!好きじゃないんだからね!」
おいぃぃ!!どこでツンデレ発動させてんだよ 考えろよ!今それ言ったら...
「なんだよ 付き合ってるわけじゃないのかよ!」
「好きじゃないかも知れないけど一応付き合ってるから!」
「じゃあ別れちゃったら?俺今フリーだし、あとたぶんだけどさっき君のこと見捨てて帰ろうとしてたよ?」
あれ バレてた...?
「えっとその、じゃあもう別れます。すみませんせした」
「なに言いくるめられてんのよ!反論しなさいよ!って、見捨てようとしてたの⁉︎」
「いや〜別にそんなつもりはなかっイデデデデ!!!」思いっきり耳たぶを引っ張られた。
「ご、ごめッイタタタ!痛い!ほんとやめて!ちぎれるから!ちょっ!ほんと!いやぁぁぁぁーーーーー!!!」
■ ■ ■
あの後ナンパ男が俺の引きちぎられそうな耳を見て哀れに思ったのか、弁明してくれた。本当にあの女は限度というものを知らないから怖いんだよな。そろそろ立場を分からせてやる時が来るかもな。
そして今、その脳筋ヒステリック女と二人で歩道を歩いていた。
「あっ!ヒカリさん。車道側は危ないんで僕がそっち側たちますよ」
「いいわよ別に」
「カバン重そうっすね!持ちやしょうか?」
「なんなのさっきから?」
「え?いつも通りのこと あっ、ボール。」
脇にあった公園からボールが車道に飛んで行った。そしてそれを追いかけ小学生くらいの子が車道に飛び出した。
そしてそこに
トラックが勢いよく突っ込もうとしていた。
「おい!危ない!」
その子は驚いたのかトラックの方を見て固まってしまっていた。
まずい。そう思って駆けつける
が、俺より先にヒカリがたどり着きその子を歩道に投げ飛ばした。だがヒカリが戻る時間まではなかった。
バカやろう!それじゃあお前が!
俺は全力で走り込み、彼女を思いっきり突き飛ばした。
...人は死を直前にすると走馬灯を見ると言われている。
だがそんなものは俺には見えなかった。
ただそこにあるのはパニックだけである。
俺の思考回路はぐちゃぐちゃになっていた。
もし冷静であれば、幼馴染が助かってよかっただとか、死にたくないとか考えるのだろう。
だが轢かれる直前、俺はこんなことを考えていた。
異世界転移カモーーーーーン!!!!!!!
そして俺は、トラックに轢かれた。
■■■
今俺は何もない真っ白な空間に立たされていて、目の前には1人の若い女性がいた。
銀髪のロングヘアーで顔立ちはとても整っていた
「はじめまして。私の名前はリリア 女神です」
俺は確信した。これは転移する感じの流れだと!
まじかよ最高じゃんか!現世でいいことしたからチート持ちで転生できるみたいな感じでしょ!俺TUEEEE的なことできるんだろ!
まぁ一旦落ち着こう。ほら、女神様に興奮してるってばれたら恥ずかしいじゃん 冷静にいこう。
「おい。ここはいったいどこなんだ」
クールかつ堂々とした態度で聞いた
「 ここは死後の世界です。訳あってあなたを異世界に転移させることになりました」
イエーイ!やっぱりそうだーー!
「フフッ。なるほどね、そういうことか」
「あの、その喋り方なんなんですか?」
「気にしないでくれ。昔からこうなんだ」
「...そうですか。一応私、神なんですけど?」
まずい!ちょっとカッコつけて、タメ口で話してたら機嫌を悪くさせちまった!どうする?今からでも敬語に直すか?いやでもそれだとダサすぎるよな。
「まぁそれで新しい世界で生きていけるよう、今から色々と必要なことを教えますね」
流石に態度を急変させるのはまずいから、この話し方を貫こう。
「そうか、では聞かせてもらおうか」
「......」
「なんだ?言わないのか?」
「もういい そのまま行け」
「え?」
視界が真っ白になった
■■■
最悪だ なんの説明もないまま異世界に来ちまったよ!くそ!この前見たラノベは女神にタメ口使ってたのに怒られてなかったのに!というかむしろ好感度上がってたぞ おかしいだろ!
視界が戻るとそこはいかにも異世界って感じの街中だった。周りには剣だとか鎧だとかを装備した人やエルフやドワーフみたいなのもいた。
まぁ異世界転移といっても全く説明なしに飛ばされるパターンもあるし それだと思えば別にいいよな。情報収集なら普通に市民に聞けばいいしな
早速近くにいた女性に話しかけてみる
「すみません。ちょっといいですか?」
「ぷしあきどぅーっや↑」
へ?
「はぁ、ぷしあきどぅーっや↑」
げ、言語がわからない、、、
あれ?俺の人生早速詰んでね?
俺が返答に困っていると 近くにいた男がこちらに向かってきた 黒髪の中肉中背 黄色人種のような見た目だった。その男は俺に微笑みながら、こう話しかけてきた。
「ぎゅふすじゅぴゅり〜やっ↑」
日本語喋れねーのかよ!期待しちゃったじゃんかよ!
そうだ もしかしたら言語理解みたいなスキルがあってRPGみたいに取得できるんじゃないか?そういう設定の小説とかも結構あるし。
よし!やってみるか!
ステータスオープン!
手を前に突き出しそう叫んだ
ボワン
文字の書かれたボードのようなものが空中に現れた。
やったできた!
「はん?ふぁっちゃるでゅーれ?」
「ふっ。どぅりゅあーぴゅーりゃ」
2人に変な目で見られた ボードは俺にしか見えていないらしい。クッソ恥ずかしい。俺は逃げるようにその場を離れるのだった。
カッコつけてたら女神に嫌われて言語理解さえ取得させてもらえないまま異世界に転移させられたクズの話 @to-funonimono
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