裏第6話:あの人は私に沢山のものを授けてくれる

魔法使い。その人は自分のことをそう呼んだ。


魔法使い。私もその人と同じ存在になった。


目の前には夢のような光景が浮かんでいた。


「ま、魔法ってすごいんですね!なんでも作れる気がします!」


慧さんはとても驚いていた。私は夢で見ていた光景をなぞるような、そんな気分だった。


私は魔法の力をずっと昔から知っていた気がする。慧さんのことも、ずっと昔から―


(そんなはず、ないわよね)


慧さんは今まで隠していたこと、その理由を説明してくれた。魔法のこと、事件のこと。


慧さんは私のことを信じて話してくれた。そのことがとても嬉しかった。


私は魔法使い。慧さんも、陸ちゃんも、晶さんも、風助君も、みんな魔法使い。


父さんが見つからないのは悲しいけれど、みんなと一緒にいる時はそれを少しだけ忘れることができた。


今日は5人そろって私の料理を食べている。ちょっとしたパーティーのようだった。


そんな中、慧さんが私のことを見つめていた。とても寂しそうな目で。


それはきっと、私が寂しそうだったから、彼も寂しそうな目をしていたのだと思う。


やがて彼は目をつむり、微笑んで見せた。だから私も彼の真似をした。


この人たちとなら、どんな困難も乗り越えられる。そう思ったから。

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