第50話:マジックコンクリフト
「陸と魔法の訓練をしようって話をしててな、杏莉さんも見学ぐらいはしてもらったほうがいいかもしれんな」
「私がですか?う~ん、やっぱり私も魔法の訓練に参加したほうがいいですか?」
「杏莉さんが戦う気がなくても相手が仕掛けてきたら対応しないといけないしな。陸を護衛に付けるとは言え何時でも守ってもらえるとは限らないし、自衛や戦闘の補助ができたほうがいいだろうな」
「ちょ、ちょっと想像がつかないですけど、慧さんが言うなら少し考えておきますね」
「あくまでも念の為って事だな。普段は俺と陸で何とかするさ。さて、晩ご飯をいただくとしますかね」
そう言っていつものように一礼をして料理に手を付ける。
魔法を教えて二日しか経っていないのに、料理の腕に磨きがかかっているようでどんどん料理が美味しくなっていく。
好きこそ物の上手なれ、とはよく言ったもので、杏莉さんの魔力と料理への情熱の相乗効果は驚くべきものがあった。
「これはもう、杏莉さんの料理じゃないと満足できなくなりそうだな・・・」
「それには同意致します。慣れというのはある意味で、罪なのかもしれませんね」
陸ももはや猫まんまとは言えないほど豪華な料理を頬張っている。
「おだててもなにも出ませんよ」
「でも、デザートは出てくるんだろ?」
「はい!それは出てきます!」
杏莉さんがシェフで陸がウェイターのレストランなら相当繁盛しそうな気がする。
料理を食べ終わりご馳走さまでしたと一礼をし、満足感に浸る。
ソファーにもたれかかり、ふぅと一息付いたその時、なにやら奇妙な感覚に襲われる。これは―
「主殿」
「陸、お前も気が付いたか」
キッチンにいた杏莉さんもこちらへ向かってきた。
「慧さん、今、なんていうか、なにかが外でぶつかるような感じがしたんですけど」
「恐らく魔法使い同士が戦ってるんじゃねぇかな、そう遠くない位置でやり合ってるみたいだ」
「主殿は、如何されますか?」
「そうだな・・・とりあえず様子を見に行くか。陸、お前も来るか?」
「勿論、御一緒させて頂きます」
「慧さん、だいじょぶですか?」
「規模はそこまで大きくねぇから多分大丈夫だ。それよりも無視して後々面倒なことになるのは避けたい」
「まずは偵察のした後、どう立ち回るかを決めるという事で宜しいですね、主殿?」
「まぁそんな感じだな、んじゃぁとりあえず行ってみるかぁ」
俺はコートと帽子に手をかけ着替える。陸は人に姿を変えて体制を整えている。
「そんじゃ行ってくるわ。ちょっと待っててくれな」
「はい、気をつけてくださいね」
俺たちは気配がした方向へと向かっていった。
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