第44話:手料理一番!

料理対決を始めるにあたって、杏莉さんと晶とで話し合い、ルールを取り決めた。


「じゃ、ルールは10分間で俺を唸らせる料理を作ったほうが勝ち、でいいな?流石に二人同時ってわけにはいかないから一人ずつ順番だな」


「いいわよ♪ワタシが先に作らせてもらうわ♪」


晶はそういってコートを脱ぎ、ソファに掛けてキッチンへ向かっていく。


「んじゃ、よーい、スタート」


完全アウェーでの勝負だがそんなことを気にするそぶりも見せずに晶は料理を作り始める。


派手な見た目とは裏腹に相当料理は作りなれているらしく、テキパキと作業をこなしていく。


「あの、慧さん。晶さんとはその・・・どういった関係なんですか?」


隣に座っていた杏莉さんが話しかけてくる。


「あぁ、えっとな・・・帰り道でヤンキーに絡まれてるのを助けただけなんだよ。だから名前と魔法使いだってことぐらいしか分からん」


「そ、そうだったんですね。私はてっきりお付き合いしている人なのかと思いました。晶さん、すごく綺麗だし、慧さんとお似合いだな、って」


「いやいやよしてくれ、俺は付き合ってる人なんかいねぇよ」


「そ、そうなんですか。う~ん、慧さんはそういう人いるんだと思ってましたけど」


「残念なことにそういう浮ついた話はねぇんだなぁこれが」


そこまで話すと杏莉さんはう~んと唸りながらなにかを考えている。


するとキッチンにいる晶がこちらに向かってきた。


「完成よ~♪晶スペシャル肉野菜炒め♡」


そう言って晶が持ってきたのは普通に美味しそうな肉野菜炒めだった。


量は少なめだったが10分という時間を考えると仕方ないのかもしれない。


自信満々に勝負を仕掛けるだけあって暗黒物質ダークマターが出てくるというような惨事にはならなかった。


早速頂きますと一礼をした後、料理に箸をつけた。

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