第83話

 

 ぞろぞろとほかのメンバーが揃い始めたので、これからの会合には無関係の二人は退散することにした。

「仕事も終わったし君らと会う事はもうない、まぁ世の中なにがあるかわからないから確実なことは言えないが(そう言ってちらりとエヴァを見る)と思うが、これからもまぁどうにか死神に肩を叩かれるまで頑張って生きていきなよ。人生長くて大変なことが多いが、どうにかなる事の方が多いんだ。請求書の山とか。飲み屋のつけとか。仕事上の付き合いがある人が騎士団に捕まって呼び出されたとか」

「若者に贈る言葉としては最悪の部類ね」

「人生その日その日を生きていくしかないから頑張ってください。でどうしようもなくなったら犯罪者になるか首を吊る前に冒険者になりましょう。私はそのノリでこの商売始めましたが、この通り生きてる」

「前途ある生徒にそんな言葉送らないでもらえるかしら」

 ドーリーとVは最後になにか言っておいた方がいいかと言葉をひねり出したが、評価としてはエヴァと学園長の言葉の通り。

 そのやり取りを見て、呆れたのかなんなのか、二人は笑みを浮かべた上で深々と感謝の言葉とさよならの挨拶をして去っていった。

 

 次に入ってきたのが、新人の教師。

 後ろには当事者である新聞部三人。彼女達は手に箱を持っている。

「がんばってみましたがどうにもこうにも」

「あなたが教師として優秀なのは買っているけれど、話が長いから短くまとめていただけるかしら」

「えぇはい。地下施設について直接的な資料は見つかりませんでした。ただ間接的な資料は見つかりました」

 この先生の扱い方がうまいな、とは新聞部。でも学園長だからできることか。


「遅れてすいません」

 最後に入ってきたのは従者二名を連れた隊長。

「この件については一任されました。私が騎士団における現場責任者ということになります」

 優秀な期待の星に任せる、と言えば聞こえは良いが上司や同僚たちはこういう微妙な件を扱いたくないだけ。

 そういう仕事は出世欲がなく、上から割り振られた仕事をこなすことだけを考える隊長に回ってくる。そしてそういう事件を解決するので出世株になる。


「はじめましょうか」

 そして学園長の一言。

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