第36話
「えぇ、それじゃあこれより即席ですが地図の読み方とルート策定講座は始めます。一応出席取ろうか?はい番号」
「1!!」
「2です」
「僕もですか?3」
普段なら二人が弓を練習している時間、学生二人がどこかから調達してきた椅子に座りながらドーリーはそんな講習を始めた。
即席だが地図の読み方、あと方角を確認する方法などを簡単に教え二人にルート設定をさせる。
さすがにそこまでは責任が持てない。
先輩の方は難易度が高い位置の的でも当てる自信があるので、森や沼など体力が消耗する場所を避けながら最短距離を行くルート。
逆に後輩の方は体力自慢。沼地は無理(というよりドーリーが止めた。さすがに無謀だ)でも森の中やちょっとした山を走り抜けるくらいはできる、という事でできるだけ的に近い位置まで走るルート。
先輩より的中率が低い分については速射と短い距離でカバーして時間を稼ぐ戦略。
「点数を競う訳じゃなくて、とりあえず的に当てればOKなんだろ。なら自分が得意とする距離や狙いやすい場所まで動く方がいいだろう」
これがドーリーが二人に提示した作戦。
そしてもし迷った場合、自分の位置をどう確認したらよいか、どういうルート設計をなおすかという話に移ったあたりで、そう言えばVの声がしないなとドーリーが確認したらいつの間にか消えていった。
「謎の冒険者たち、悲運の弓使い達、違うな、なにかこうぱっと目立つ感じの見出し作れないかしら」
「冒険者たちの奇行、怪奇、我らが母校に吸血鬼が現れそれを退治せんが為に弓の秘密特訓を」
「だめね。吸血鬼ネタは使い果たしたわ」
即席の青空教室でわいわいと騒いでいるおじさんと女子学生2人、それを遠くの木の陰から隠れるように見ながら3人の女子生徒がこそこそとそんな相談をしていた。
「壁新聞なのよ、もっとこう、読者の目を引き付ける内容じゃなきゃだめなの。使いまわしはだめ」
「でもオカルトくらいしかネタがないじゃない」
「あなたが好きな恋愛ネタでもやる?」
「洒落がわかる生徒の同性愛をぼやかして書く程度なら何とかなるけど、さすがに生徒と学外の冒険者の恋愛とかは不味いわ。学校からまじめに怒られちゃったら私たち退学よ」
「あの、何か御用ですか?」
その三人に話しかけるV。
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