第13話
「まずは教科書に従って、と思ってましたが、あまり必要ないようですから、冒険者と傭兵における回復魔法について解説しましょうか」
そう言って黒板に向かう。
「チョークってあります?」
どうにも締まらない。
生徒達がなぜこの講習を受けたか?と教師が聞けば優等生らしい真面目な答えでてくるだろうが、本心はこうだ。
まず冒険者と聞いてどんなものかとやってきたのが4分の一、意外とかっこよくて若いらしい、と噂を聞いてやってきたのが4分の一、講習でもでれば授業として評価されるしテストもない、という思惑が4分の一、というかこういうので稼いでおかないとちょっとやばい、とが大体4分の1、あとはその他。
出てきたのは確かに若くてイケメンの優男。もう一人は、強面のおじさんだがこういうのが好きな人もいるだろうというのが女子生徒の評価。
授業の内容?私たちの実力を下にみてるからABCでC−、まぁ冒険者相手にすごい授業なんか求めてないし。所詮冒険者だもの。今までの冒険者と同じように話半分か教科書に書いてあるような話で終わるだけよ。
と言った具合
「えぇ、はい。それでは皆さんにお聞きしますが、そもそも回復魔法で大事なことってなにかわかりますか」
急に話を変えてので生徒は驚いたが、ここは優秀。一人が手をあげ答える。
「術の的確な選択、正確な詠唱、適度な魔力配分の3つです」
1的確な選択、つまり腕をつなげるというのに下痢止めの魔法を選ばないこと。
2正確な詠唱、正確に呪文を唱えなければ後遺症が残ったり問題が発生する可能性がある。
3適度な魔力配分、人間の魔力には限界があるのでそれを見極めつつ必要最低限の魔力で的確になおす
ここから派生し「選択肢を増やすために使える魔法の種類を増やす」「魔力配分を見極めて魔法のみにこだわらず薬学や外科的医療も用いる」などがあるが、それはあくまでも派生の心得。
「その答えだと100点満点中15点かな」
しかしVは違うという。やっぱり冒険者ね。という雰囲気。
「他に意見はありませんか」
上がらない手。それをみて後ろで授業をみていた教頭が挙手。
「はい。先生」
「回復魔法の最大の目的は生存率の向上ですね。回復魔法の授業で一番最初にやる筈なんだが、当たり前すぎてテストでもやらないからな。忘れちゃったか?」
「正解です。この生存率の向上、とは具体的にどのようなことかといいますと、えぇ」
ドーリーがチョークを片手に
「要は死体の数を減らすって事だろ」
と答える。
「まぁ身も蓋もないことを言えばそうです。回復魔法を使わなければ10のうち10死ぬ。それを5以下、できれば0にするのが回復魔法の意義です。ですから冒険者や傭兵といった危険な業務を行う職種において、最も求められることは回復魔法を使う自体を起こさないこと、つまり根本として怪我や事故などを減らすという事が回復魔法の意義に繋がります」
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