第13話

コウルとカーズ、二人の剣がぶつかり合う。


一撃、二撃、三撃。


「なるほど、できる! だがーー」


カーズがコウルを弾き飛ばし、トドメの一撃を振るおうとする。


それをエイリーンの魔力弾が止めた。


「チッ、邪魔だな!」


カーズがエイリーンの方に向かおうとする。


だがそれはコウルによって遮られる。


「なるほど、二人でオレを止めようというわけか!」


一対一では、コウル、エイリーンはまだカーズに勝てない。


だが二人で攻めれば、その戦いは互角以上だった。


「このオレが……!」


押され始めるカーズはイラツキを隠せない。自分と互角に戦えるのはジンだけだったから。


「はあっ!」


コウルの一撃が、カーズの剣を吹き飛ばすと、コウルが剣を突き付けた。


「終わりです、カーズ」


コウルはカーズに降伏を願う。魔力砲を止めてくれれば、命を取る必要はない。


「舐めるなよ……」


カーズは後ろに跳ぶと、懐から黒い宝玉のようなものを取り出した。


「使いたくはなかったが……」


カーズが宝玉を握りしめる。


「な……」


カーズの魔力が増大し始める。コウルはそれを止めようと一気に接近し、仕方なくトドメを放とうとして、弾かれた。


「ぐっ……?」


「大丈夫ですか、コウル」


エイリーンが駆け寄り、二人でカーズを見る。


カーズの周りを闇の魔力ともいうべき、漆黒が包んでいた。


「この魔力は……!?」


エイリーンにはその魔力に覚えがあった。


だが、今はそれどころではない。闇の魔力を纏ったカーズが迫る。


「ぐっ!」


「きゃあっ!」


二人を吹き飛ばし剣を拾い直すと、カーズは機械を操作し始めた。


「もう、貴様らの魔力はいい。今の魔力とオレの魔力で!」


カーズが起動スイッチを押した。機械に発射タイムが表示される。


「あと10分だ。あと10分で終わる!」


「やめろっ!」


コウルの剣がカーズを斬った、と思われた。


カーズは闇の魔力で覆われた手で、剣を受け止めると、そのままコウルを投げ捨てる。


「おとなしく諦めろ」


「そうは……いかない。エイリーン!」


「はい!」


コウルは女神聖剣を呼び出し、カーズに突撃する。


さすがに聖剣相手には不味いと感じたのか、カーズは剣で聖剣を防ぐ。


光の魔力と闇の魔力が衝突する。


「うおおっ!」


「はああっ!」


コウルとカーズの全力の斬りあい。


しかしカーズの急ごしらえの闇の魔力では、コウルとエイリーン、契約した二人の魔力が上回る。


「カーズ!」


ついにコウルの聖剣の一撃が、カーズを切り裂いた。


「がはっ……」


カーズが吹き飛び、壁に叩きつけられる。


コウルはすぐさま、カーズに近づき聞いた。


「あの機械の止めかたは!」


カーズは笑った。


「も、もう遅い。魔力砲の起動は完了している。止められはせん」


「な!?」


発射タイムはあと5分。


コウルはとエイリーンは機械を調べてみるが、止める方法はわからない。


時間がどんどん過ぎていく。


「何か、手はないの?」


コウルがそう漏らした時だった。


「手段はある」


その声はリヴェルであった。


「リヴェル様!?」


「リヴェルさん、なぜここに!? いや、それより止める方法って?」


「止める方法じゃない。防ぐ方法だ。だがその前に……」


リヴェルはコウルに向き直った。


「コウル、お前は元の世界に帰りたいか?」


「え、今はそれどころでは」


リヴェルは空を指差した。


「あの空間の歪み。あれをくぐればお前は元の世界に帰れる」


「えっ」


コウルは機械の上。歪みを見上げる。


「コウル、エイリーン。お前たちが協力して、魔力で歪みを閉じるんだ。そうすれば、魔力砲は空に向かって発射され、天に消える。だが……」


もう一度、リヴェルはコウルを見た。


「あとは、お前が元の世界に帰って歪みを閉じるか、こちらの世界に残ったまま閉じるかだ」


「僕は……」


「時間がない。早く決めるんだな。」


コウルはエイリーンを見た。


「コウル、どちらを選んでも、わたしはあなたの意見を尊重します」


コウルの決断はーー。

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