106話「三大勢力 下」


 とある地底につくられた、魔人族の本拠地。現在そこには全ての魔人族が集結していた。

 たった9人しかいないが、その一人一人が世界を脅かす力を持つ者が集っている。Ⅹランクすら上回る測定不可レベルの彼らが揃えば、世界は何度滅ぶことか。


 そんな彼らが今こうして全員揃っている理由は1つ。彼らをまとめている族長による呼び出しを受けたからだ。

 その張本人である魔人族の長...ザイートは、以前よりゴツくなった体躯をほぐして赤黒い色をした髪を軽く整えて、どこかご機嫌そうに同胞を眺めてから口を開いた。


 「たかが半年と思っていたが、随分長く感じられた半年だった。それだけにこの時を待ちわびていたということになる。今は最高に気分が良い。これから世界に復讐を、そして全てを俺たち魔人族の支配下におくことが実現されようとしてるからだ!」


 開口一番のその言葉に、彼の実子である序列2位ヴェルド、3位ベロニカ、5位ネルギガルドらはニヤリと笑う。ザイートが無意識に放っている悪のカリスマ性があるからこそ、皆ザイートを慕って彼についていくのだ。


 「ベロニカも全快したようだし、俺も“成体”になれた。いつでも全力を出せる。いよいよだ!俺たちはこれより世界に再び戦争を仕掛ける。そして全てを俺たちのモノにするぞ!!」

 ザイートの言葉に魔人族全員が賛同の意を示した。彼らの士気は高い。彼ら自身も、長い間この時を待っていたからだ。


 「手始めに各王国を滅ぼすところから始めようか。地上に俺たちの拠点をつくりたい。まずはいちばん弱い勢力を潰す。この場合だと、イード王国が適格か?なぁクロック?」

 「はい、ここ半年間で人族の情勢を観察した結果、その国がいちばん脆いことでしょう。人族の最高戦力がいるのは、サント・旧ドラグニア・ラインハルツの三つです」


 ザイートに振られてそう答えたのは、序列4位のクロック。灰色の髪が肩に届く程の長髪細身の男だ。


 「そうか。ならその3地域には魔人族それぞれ一人ずつ向かえ。クロックがラインハルツへ、サントにはジースが、旧ドラグニアにはリュドルが、それぞれ向かえ。全て殲滅しろ」

 「「「仰せのままに」」」

 

 3人の魔人族がザイートの命令に同意する中、彼は次に魔族について考えだす。


 「クロックの情報によれば、今存在する魔族は、亜人族と竜人族だけらしいな?鬼族も生き残りがいるそうだが、今は放っておこう。獣人族はいつの間にか滅んだって?まどうでもいいか」

 「その獣人族ですが、滅ぼしたのは鬼族だという情報が上がってます。鬼どもは侮れないかと」

 「ほう?面白いな?まぁいずれ相手することだし、邪魔するなら殺しておけ。とにかく魔族にも侵攻するぞ。ネルギガルド、お前は亜人族を滅ぼせ。お前なら余裕だろう?」

 「任せてちょうだい!亜人なんてまがい物生物の集まりよん!すぐ滅ぼしてあげる!」

 

 鬼族に特にふれることなく、ネルギガルドに指示を出す。そしてヴェルドに顔を向けて彼にも指示を出す。


 「お前には竜人族...サラマンドラ王国を頼もう。奴らは手強いが、今のお前なら容易いだろう。任せるぞヴェルド」

 「引き受けた...」

 快諾したヴェルドに頷いて、残りの魔人族たちに告げる。


 「残りの同胞たちは待機だ。戦争が終わるまではこの拠点は潰されないようにしておきたい。俺の貴重なサンプルや研究データがあるのでな。それに...奴がここに攻めてくる可能性もあるから、その迎撃に当てたい」


 二言目から声のトーンを低くしたことにヴェルドやベロニカが反応する。ザイートが警戒していることにいち早く察知したのだ。


 「屍族に近づいたまだ見ぬ異世界人か。俺たちの動向を知ったらここに直接向かってくるってことか。そういえば奴は今どこを拠点としてるんだ?」

 「例の異世界人は、現在故ハーベスタン王国を根城にしています。そこには鬼族の残党もいるようです」

 

 ヴェルドの質問にクロックが答える。その内容にネルギガルドが反応したが、何か言う前にザイートが指示を出す。


 「そこにも同胞どもに攻めさせるか。ただし、お前たちではなく屍族たちに、だ。全て最高ランクの同胞たちを使え。奴らと同じ数の同胞を入れれば簡単に殲滅できるだろう」

 ベロニカに向けてそう指示してから、一旦深呼吸をする。


 「...と、指示はこんなものか。あとは状況に合わせてお前たちが勝手に動け。以上だ、これより世界に俺たちが復活したことを知らしめるぞ...!!」


 そう締めくくって、魔人族たちの侵攻が始まろうとしていた。


 (この時の為に、お前に餌をほとんど与えないでおいた。お前の思うようにはさせない。最後に立っているのは、俺だ...!!)


 最大の障壁となるだろう異世界の男に、心の中でそう叫んだ。



三大勢力その2 魔人族軍

主戦力

ザイート(序列1位)、ヴェルド(序列2位)、ベロニカ(序列3位)、ネルギガルド(序列5位)、クロック(序列4位)他魔人族4名

モンストール・魔物

Sランク50体、Gランク100体、上位レベル500体、下位レベル2000体、使役魔物総勢約50000体



 そして、残る第3の勢力――



 「さぁて、そろそろか......!残りの元クラスメイトども、魔人族。全て俺がぶっ殺してやるよ...!!」



 長い間地下深くでの鍛錬を終えて、無人の荒野にて一人、そう声を出した俺――

 甲斐田皇雅はそう宣言した。俺の復讐劇、ただ今を以て再開する......!!



三大勢力その3 人族と屍族のはざまの種族、イレギュラーの“ゾンビ” 

主戦力

甲斐田皇雅かいだこうが


 これより三勢力による、全大陸を巻き込む大規模戦争が、始まろうとしていた...!







*次回 1話~このエピソードまでの振り返り(総集編)エピソードを挿話します!

早く続き読みたい方は次々回からどうぞ!!

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