第27話 『切なくそして幸せな、タピオカの夢』

『切なくそして幸せな、タピオカの夢』 吉本ばなな

(2018/7/25 幻冬舎)



初めて、吉本ばなな氏の作品を読みました。

優しく、泣きそうになる文章。

作品のテーマは、「おふくろの味」「味のふるさと」。

作者が子どもの頃に父親と行ったという市場や、父親の料理の癖。

作者が子どもにつくったトマトスープや、子どもが好きなコーラのタピオカの話。

味の記憶は、そうやって受け継がれてゆく。



ふと、自分のことを思い出しました。

両親は健在。両親とも、料理はする。しかし、私にはこれといって「おふくろの味」はありません。レシピが知りたければ、グーグルで検索するかレシピ本で探します。親から教えてもらったレシピはあったかな……? ポテトサラダの隠し味は教えてもらいましたが、「おふくろの味」ではないのですよ。ポテトサラダ自体自分で調べて調理し始めましたので。



「味の記憶」はというと、マヨネーズコーンパン。

昔地元にあったイトーヨーカドーの隅っこにパン屋さんがあり、そこのマヨネーズコーンパンをねだって買ってもらいました。

味は覚えていません。

ただ、なぜかセブンイレブンの似たようなパンを食べたときに、そのパン屋さんのことを思い出します。味は違うのに。

幸せだったのかな、当時は。

しみじみ。

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