第9話 つくらないと書けない

自分は不器用です。

実生活ではテキパキと動けませんし、頭の回転も遅い。本当は、小説を書くことにも向いていないのです。



(´・ω・`)



今回のエピソード「つくらないと書けない」は、まさに自分の不器用に関する話。

よく、拙作を「料理がおいしそう」と評価して下さるかたがいらっしゃいます。ありがとうございます。素直に嬉しいです。食べる描写より、調理の描写が多い気もしますが。

その料理の描写をするために、一度自分で調理をしないと、どうしても書けません。

手順はわかっていて、頭の中で再生もできるのに、執筆となると筆が止まってしまう。

執筆の前の調理、かなりやりました。



ルウを使わないクリームシチュー。

鶏の唐揚げ。

メインディッシュと並行してつくるサラダ。

スープ、味噌汁。

コールスローサラダ。

鶏そぼろごはん。

鶏天。

野菜のそぼろあん。

マリネ風。

鶏ハム。

バターチキンカレー。

バターポークカレー。

海老のクリームカレー。

焼き鮭。

ピクルス。

苺のババロア。

……etc.



料理の描写にこだわるのには、理由があります。

大きな理由は、とあるプロの小説の料理がおいしくなさそうだったから。

料理がおいしそう、という前情報は得ていたのです。しかし、私にはおいしそうに感じられなかった。

なぜだ。

豪華な料理が並ぶことに対して、「おいしそう」という気持ちが働かなかったから。どんなに描写されても、実感が湧かなかったから。登場人物の感情が「うまい」だけだから。

朝ドラ「花子とアン」の中で、“はな”(当時はまだ“花子”ではなく“はな”さん)が山梨の家族にクッキーを贈った場面。少しずつ口に含んだり、囲炉裏で炙ってみたり、はなに感謝しながら家族クッキーを食べる様子を見て、自分が心動く食べ物の場面はこれだ、と思いました。

……厳密には、料理ではありませんが。

質素で良い。感謝しながら、思いを抱えながら、自分と向き合いながら、調理をしたり、食べたり、そういう場面を小説に組み込み、登場人物の暮らしぶりがわかるような小説を書きたい。

今後も執筆前の調理をするでしょう。

どの場面でどの料理が登場人物するのか、お楽しみに。

“紗衣”も、“縫”も、今後の作品の登場人物達も、読者様に料理を“味わって”頂きたくて待っております。

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