引きつけ合うモノ

衝撃の事実


「「つ〜か〜れ〜たぁ〜…」」


モービルの後部座席にマサキとシンヤの2人は寄り掛かっていた。

体が、というよりかは気疲れである。


「…まぁ、最初は仕方ないよ…」


アレ?去年どんなだったっけ?

確か初日とか寝ただけだったような…うーん、最初の方を読み返さないと分からな(殴


「はぁ…全然気まずかったですよ…」


「うーん、まだ君たちとフレンズが心を通わせられてないみたいね…最初はそんなもんよ」


ビーッと音が鳴り、モービルのドアが開くと同時に雪と冷たい風が舞い込んでくる。

乗り込んできたのは…


「お疲れー、マコ」


「お疲れーヒロミ!アレ取ってきてくれた?」


「もちろん、忘れてないよ」イケメンスマイル


ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!


「アレ?昨日の…マナブ君?」


「タクミですよろしく(圧)」


カミナリではないと断言させてもらおう。


後ろの座席でシンヤがワナワナ震えている。

寒さのせいだろうか?と思ったが、やがてヒロミに指を指していった。


「あ…あ…アニキぃ?!」


「…シンヤ?」


え…?まさかの…?


「あれぇっ?!もしかしてヒロミとシンヤ君って兄弟なの?」


シンヤはあんぐりと口を開けたままヒロミを指差していた。


「久しぶりに会えて嬉しいぞーシンヤ!」




宿舎に戻るころだった。

四人はもう既に部屋に戻っていったが、僕は玄関の灯油を入れ替えようともう一度モービル停に戻ってきていた。


「さっむ…部屋はエアコンなのに玄関はストーブかよ…ケチケチしないで欲しいな…」


オイル臭いその場を離れようとした時、次のモービルが止まり、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「おっ!いたぜ!」


トテトテとステップから降りてきたのはかなり厚く着込んだイワトビペンギンのフレンズ…と誰?

完全防備でニット帽にネックウォーマー、何故かスキーゴーグルまでつけている。


「わぁ久しぶりだね!…もう一人は…?」


「フルルー」


あ、なるほどね。


フンボルトペンギンはそもそも寒いのが得意ではない部類のペンギンだ。

だが何もここまでしなくても…

まぁいつも通りのあの御御足丸出しの格好で来られてもかなり(下に)悪いのだが。


「ホラよ、招待しに来てやったぜ」


イワトビペンギンがハガキを差し出した。

なになに…フルル誕生日ライブ2023…


「え?フルルちゃんの誕生日って」


「あさってだよー、去年は丁度次の日にタクミと会ったからー」


はええなるほど。

確かに今年の夏休み入りは早かった。


「へぇ…じゃあ明後日は時間見つけて行くね!ところで何歳になるの?」


「にじゅうに〜」


はええなるほど。












じゃねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇあっだっっっだなむふらと?まるはおへむねむぬむら?れ?れ、?、、




「に、二十二ぃっ?!」


「何歳?」


「20」


「えーっ、呼び捨て合法だねー」


「フレンズでアラフォーとかザラにいるぜ」


母さん…なんかメンタルが終わりそうです…


「フルルさんでもいいよー」


「お断りします」


やべぇ、頭が追い付かねぇ…

ヒロミがマコさんのパートナーかつシンヤの兄貴でフルルちゃん(強調)が僕より二つ上…


「じゃ、オレは先に帰ってるぜー!」


「じゃーねー!」


フルルちゃんがモービルに手を振った。

ポツンと残されたのは灯油を持った思考停止男と完全防備の(僕より年上の)正体ほぼ不明フレンズ。


訪れる静寂とカオス(二回目)


「タクミー?」


「はイ?(呆然」


「寒い」




あ、ありのままに今起こった事を話すぜ(ジョ並感)

帰り道とかもう全く覚えてない…

灯油入れたっけ…?

フルルちゃんが厚着を脱ぎ捨てていつもの服装で足をパタパタさせている。


…いやでも冷静になって考えてみろ。

別にどうってことないじゃないか、別に好きなわけでもないんだし。

あくまでも元研修生とフレンズの関係だ。

別に年上だろうとあんまり関係ない。


「タクミー」


「んー?」


「タ・ク・ミ君?」


うぉぁウゼ可愛い…


「うーんしっくりこないからそのままタクミで」


マジで何しに来たんだ…


コンコンコンとノックの音が。


「どうぞー」


「「失礼しまーす」」


マサキとシンヤが部屋に入ってきた。

まず僕を見る。

次にフルルちゃんを見る。

そして正に昨日自分の先輩がそのフレンズに抱きつかれていたところを思い出す。

流れるような一連。


シンヤとマサキがすごいスピードで迫って来て、横でこしょこしょ呟いた。


「え?!なんすかもしかしてお邪魔でしたか?!」

「というか何やってるんすかフレンズ部屋に連れ込んだりして怒られないんすか?!」

「いやいや別にそんな関係じゃないったら」

「何話してるのー?」


これには背筋も凍る…


「ゴホン…えっと、フルルちゃん、前年度に僕が担当したフレンズです。コッチはシンヤ君とマサキ君、僕の後輩」


「「よろしくお願いします」」


「よろしくー」


「えなんなんすかガチアイドルじゃないですか」

「先輩…やりますねぇ…」

「だだだだからそんなんじゃないっつーの!」

「えでもこの時間からモービル無さそうでしたよ!?どこに泊まらせる気だったんです?」



テヘペロ(おい)

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