空も飛べるはず
アトリビュート
プロローグ
プロローグ
知ってたよ。
出会った時から、君はいっつも自分勝手で。
君はいっつもフラフラしてばかりで。
付いていくのが精一杯だよ。
毎回僕が走らされて。
今回も僕だよ。
「ハァ、ハァ、ハァハァ、ハァッ」
盗んだバイクも吹っ飛んだ。
足はとっくにズタボロなのにまだ走り続ける。
機械の音の様に、無機質な叫び声が轟く。
見つかったみたいだ、でも走り抜けるしかない。
右足の向きをいきなり変えると、乳酸が溜まって攣りそうだ。
もう僕はアドレナリンだけで動いているのかもしれない。
–その棍棒のような触手が振り下ろされた–
いや、違う。
君だ。
僕は、君の笑った顔がもう一度見たいだけなんだ。
ただ、それだけに。
動かされている。
誰にも、もう邪魔なんてさせない。
何者にも阻ませたりはしない。
握った爪の食い込んだ先から血が滲むほどに。
見つけた。
そこに君がいた。
「フルルちゃん…!フルルぅ!!!」
きっと僕は酷い顔をしているだろう。
ワンデイのコンタクトはよれて、トップスもビショビショ。
もう少し。
もう少しだけなんだ。
僕は、割れた窓に飛び込みながら、彼女の名前を。
呼ぶ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます