異世界間仕送り転送装置
「クーヘンだよー!」
「アシスタントのヤスダです。今回、社長は商品調達のため、お休みを頂いてます」
「違うよぉ。生理だよぉ」
「おい」
「あれお月様? 女の子の日? とにかく青いドロドロ出る日だってさぁ」
「そうだけど! それは言うな言われてたろうが!」
「僕は言われてないよー。ヤスダ君がアシスタントの分際だから権限ないだけじゃない?」
「テメェこのデブ」
「ほらーアシスタントくーん。商品説明してー」
「……今回ご紹介するのはこちらになります」
「異世界なんたら機械だよー」
「異世界間仕送り転送装置だ! 商品名はちゃんと言えっつってんだろ!」
「いーじゃんどうせ売れないやつの在庫処分でしょー? 社長欠席で売り上げ上がったらへそ曲げるって、敗戦処理じゃん?」
「それをこれから売るんだよ! 悪口の内情バラしてどうすんだよ!」
「じゃぁさヤスダ君が一人で売ってみてよ。これで売り上げ上がったらみんなを見返せて、アシスタント卒業なるかもよ?」
「言ったな? これ生放送だからな? 聞いたからな?」
「いーからはやくー。どうせ異世界きて現実忘れた連中が家族だ友人だ気にしてるわけないんだからさー」
「見てろよ。えー、こちらの装置、見た目、大きさ、冷蔵庫ですが、開けてみると電子レンジみたいになっております」
「説明下手だね」
「黙ってろ。えー、この中にですね、仕送りしたい、届けたい荷物、なんでもいいです。チートで有り余らせた金銀財宝でも、近状を報告するお手紙でも、中に入れられて閉じられる物でしたらなんでも送り届けることができます」
「嘘つき。生物送ったら死んじゃうじゃん」
「その説明は最後にすんだよ! 閉じまして、扉にこう、手を置きましてね、送りたい人、ご家族、友人、恋人なんかを思い浮かべて」
ぶ!
「てめぇ!」
「ごめんごめん続けて続けて」
「…………お客様は何らかの方法で元の世界から転生、あるいは召喚なされたと思います。その痕跡と思いの力を利用して元の世界へ、一方通行かつ瞬間的ではありますが、扉を開いて送り届けることができます」
「はいはい説明終わり。やっぱ下手くそだったね。扉ある機械で抽象的な扉とか、それに元の世界限定のこととかある程度の精神的繋がり、最低限顔見知りでないと送れないのも言い忘れてる。ダメダメじゃん」
「じゃあテメェ、そこまで抜かすんならやってみせろや。お手本、お勉強させてくれよ」
「やだよこんなの、絶対売れないし、赤字の犯人にされたくない。やるなら全部なかったことにしてただのゴミ箱にした方がまだ売れるよ」
「…………それだな」
「何が?」
「えーー、ここまでのは建前です。本題はこれから。先程申しました精神的繋がり、これはプラスのものとは限りません。自分をこんな風に産んだ親、いじめが青春だったクラスメイト、なぜ偉いのか理解できない上司、彼らとも繋がりはあるのです」
「あーなるほど、ゴミ送りつけるのね」
「そうですその通り。それこそなんでも構いません。生物は先程お伝えした通り殺菌されてしまいますが悪臭は残ります。それに呪いのアイテム、使い道のない、用いれば身の破滅の道具を送りつけて、報復しましょう」
「いいね。そう言うネガティブなのじゃなきゃ食いつかないもんね」
「だろ。こうやるんだよ」
「ありがとう、これで僕の売り上げも安心だ」
「……あ?」
「だってこれ僕のアイディアだし、さっきその通りって言ってじゃんか。そもそも君はアシスタンなんだし、手柄があるわけでないでしょ? 何欲出してんの?」
「もういい」
「何やっと辞めてくれるの」
「今日の放送はな。カメラ止めろ! この場でこのデブぶっ殺してやる!」
「はははやっと面白いこと言った。でもできないことは言わない方が恥かかないよ?」
「その舌しまえ、最後に自分の血を味わいたけりゃな」
「はいはい。じゃ、遊ぼうか」
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