第14話 都合のいい事に魔族が襲ってきました

 

 目の前にいるのはおおよそ五百体の魔族の軍隊ですか。

 魔王軍の規模までは分かりませんが、まぁ、五百程度なら一個中隊と言ったところでしょうか?


 私はファビエ王都から少しだけ離れたところに立っています。

 レッグさん達が兵士を編成するのにはもう少し時間がかかるでしょう。

 私はファビエ王国なんてどうでも良いのですが、国が壊れると姫様が悲しんでしまいます。だから、ここで殺し尽くしてしまいましょう。

 あ、ダメです。

 ファビエ王国は私の帰るところでしたね。国が壊れてもいいなんて考えないでおきましょう。


 五百くらいの魔物・・なら、全力の魔法をぶち込めば一瞬で終わりますが、相手は魔族です。何の感情も持たずに死ぬのは酷でしょう。確か魔族は人間の恐怖の感情が大好きと本で読みました。


 だから……。


 最期くらいは自分達も恐怖を感じて死んでもらいましょう。



 さて、指揮している奴はどいつですかね。

 私は目を閉じの気配を読み取ります。

 ふむ。

 一人だけそれなりに強い奴がいますねぇ……。

 これが、魔王ですか?


 いえ、魔王にしては弱すぎるでしょう。

 そもそも、一個中隊程度の数を率いてい魔王は前線に出てきませんよね。

 ならば、こいつが指揮官ですね。


「ふふっ。挨拶にでも行ってみましょうか?」


 私は五百の魔族に向かい歩いて行きます。


 セオリー通りなら指揮官は一番奥でしょう。

 その前に魔族の達がいるようです。殺しながら歩いて行きましょう。


 魔族達は私を止めようと襲いかかってきます。しかし、この程度で私が止まるとでも?

 私は襲ってくる魔族をナイフで急所を狙い投げつけながら歩いて行きます。

 魔族達は何が起こっているのかも気付かぬまま死んでいきます。

 あ、これではダメです。

 恐怖を与えるんでした。


 私はその場に立ち止まり近くにいる魔族の頭を掴み焼き尽くします。


「な!?」「ひぃ!?」

「何を怯えているんですか? 私はですよ?」


 魔族達はようやく自分達に何が起きているのかを把握したらしく、槍などを使い襲いかかってきます。私はその槍の刃を掴み自分の下へと引き寄せます。


「う、うわぁ!?」

「捕まえましたよ」


 私は槍を持った魔族の頭を掴み、別の魔族に叩きつけます。


「ぎゃああ!!」「ひぎぃいい!!」

「あはは。二人一緒に……、仲良く燃え尽きてくださいね」

 

 私は二人を焼き尽くし、周りにいた魔族達を次々殺していきます。

 これで五十人くらい殺しましたかね。


「ひ、ひぃいい!!」

 

 どうやら、今のを見て逃げ出す魔族も出てきたようですね。

 まぁ、逃がすつもりはありませんけど。

 私は炎魔法で私を中心に焼き尽くします。

 あ、私は燃えませんよ。自分の魔法で燃えるほどアホの子ではありません。


 炎が止むと、私の周りには魔族だった灰が残されていました。

 死体など残しませんよ。残す必要もありませんし。


 

 アレ?

 これだけですか?


 まだ五百も殺してはいないのですが……。

 あ、奥にいますね。

 さきほど焼き尽くしたのは斥侯みたいなモノで奥にいるのが本隊なのでしょう。


 ふむ。普通に戦いに行っても面白くありませんね。 

 私は魔力で作り出した電撃球に更に魔力を注ぎ込んで大きくします。


「さて、何人生き残れますかねぇ……」

 

 魔力を注ぎ込んだ電撃球は私よりも大きくなります。

 

 ……さてと。


「よいしょっと!」


 私は本隊に電撃球を投げつけます。

 電撃球は、かなりの速度で魔族の本隊に飛び込んでいき、そして巨大な爆発が起こりました。


 電撃魔法に爆発効果を混ぜてみましたが、成功したみたいです。


 さて、どうなりましたかねぇ……。

 私が本隊の下と歩いて行くと、殆どの魔族が黒焦げで死んでいます。

 この程度が耐えられないとは拍子抜けです。


 私は生き残ってオロオロしている魔族達の前に出ます。


「今の大魔法を使ったのはお前か!? なぜ人間風情がこれ程の大魔法を使える!?」

「はて? 大魔法とは何ですか?」

「い、今の電撃魔法の事だ!! あんな魔法、この間戦った勇者パーティでも使えなかったぞ!!」


 へぇ……。勇者と戦ったんですか。これは是非とも、話を聞かなきゃいけませんねぇ。とりあえず、指揮官以外は邪魔なので、殺してしまいましょうかね。


 しかし、一つ間違えている事がありますねぇ……。


「さきほど使ったのは電撃系の最下級の魔法『スパークボール』ですよ? それに少し爆発要素を足しただけです。私は魔法使いではないので大魔法なんて使えるわけないじゃないですか」

「な、なんだと? い、今のが最下級の魔法だと?」

「そんな事よりも、私もガッカリしているのですよ」

「な、なに?」

「魔族は恐怖の感情が大好きなんですよね。だから……」


 私は口角を釣り上げます。


「貴方達にはとびっきりの恐怖をプレゼントする予定でしたのに、割とすぐに死んでしまうんですから……」

「ふ、ふざけるなぁ!!」


 嗤う私に少しだけ強そうな魔族が数人襲ってきます。


「そうですね。普通に殺しても面白くないですね」


 私は魔族の頭を掴みます。そして、ソレを武器にして他の魔族を叩き潰します。


「「ぎゃああ!!」」


 先程は焼き尽くしてしまいましたが、今度は武器として使いましょう。

 魔族の体は人間に比べて少し硬いみたいですから、程よい鈍器になりますねぇ…・・。


 私は魔族を振り回しながら、他の魔族を薙ぎ払っていきます。。

 暫く薙ぎ払っていると、魔族の全身の骨が砕けたらしく絶命して柔らかくなってしまいました。

 

「壊れてしまいました。これはもう要らないです」


 私は武器だった魔族の残骸を焼き尽くし、近くで蹲っている魔族の頭を掴みます。


「ふふっ。ここにはいくらでも魔族武器があります。無くなる心配はありませんねぇ……」

「や、やめろぉおお!!」

「うるさいですよ」


 私は、更に魔族を薙ぎ払います。

 暫く薙ぎ払っていると、指揮官以外の魔族は全滅してしまったようです。


「もう全滅ですか。面白くないですね」


 さて、後は指揮官の人だけですね。話を聞かないといけません。


「ま、まさか……。お前は勇者なのか!?」

「はぁ?」

 

 不愉快な事を言われたので、指揮官を思いっきり殴ります。とはいえ、全力で殴ると頭が弾け飛ぶので、弾けない程度で殴りますけど。


「ごぶぉ!?」

「誰がウジ虫ですか。ウジ虫の話を聞こうと思いましたが、不愉快な人とは話をしたくありません。もう殺しますね?」


 私は指揮官に近付きます。指揮官は泣きながら後退ります。


「どうしたんですか? 貴方はこの先にあるファビエ王国を攻め落としに来たんでしょう? 泣いて許しを乞うてはいけませんよ」


 私は後退る指揮官の足を掴み上げ体を浮かせた後、地面に叩きつけます。


「がはぁ!?」


 指揮官の人は、一撃で気絶しそうになっています。まだ一回目ですよ?

 その後、私は何回も指揮官を地面に叩きつけました。そのうち、何の反応も無くなったので他の魔族の死体のところに投げつけておきます。


「ふむ。これで魔族を全部片づけましたね。魔族の死体ゴミを残していても仕方ないですね。焼き尽くしておきましょう」


 私が炎魔法で魔族の死体を焼いて回っていると「な!!? これは一体!?」と驚く声がします。


「まだ、残っていましたか?」


 声がした方を見てみると、紫の髪の毛を逆立てさせた魔族が立っています。

 肌の色は人間と変わりませんが、角と羽が生えています。


 さて、これは強いですかね。楽しみです。

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