爽風

つちひさ

爽風

トラクターを自走させるとそのあとの足がない。てくてく歩くしかない。この灼熱の日射しの中をだ。


 午前中も11時をすぎている。道の向こうにも後ろにも歩いているのは私だけだ。ただ、歩く、汗だくになりながら。


 途中、古い橋を渡る。古い橋は大抵高さがないので川面が近い。さわさわ、ざわざわ岩の間を水が走り抜けて行く。大雨のときはカフェオレみたいだが今日は底の砂利まで見える。


 鮎が見えないかと橋から覗き込んだ私の背中を爽風がなでる。川原の風は多少涼しい。しばらく留まることにした。

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爽風 つちひさ @tu6393

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