第2話 オレの隣の美少女が叫んだ
「よお、誠一。昨日の例のあのアニメ見たかー? いやー、一話も酷かったけど二話も酷いよなー。オレもう切ろうかと思ったよー」
「確かにー。ありゃなろう作品でもさすがに酷すぎだよなー。むしろオレはあれがどういうクソ展開になるか逆に気になってきたよー」
「よせよせ。クソはクソでも虚無的なクソだろう? あんなものマジで見るだけ時間の無駄だって」
後日。オレは再び友人の亮と例のクソアニメの話題に盛り上がっていた。
ツイッターでも例の索引はタイトルを検索するだけで後方に「クソ」「つまらない」「虚無」「面白くない」などのワードがくっつき。
他の連中もオレ達と同じようにとにかく貶したい放題。
久しぶりのクソ作品にあの手の連中も餌投入で歓喜しているようだ。
「んじゃ、オレはそろそろ自分のクラスに戻るわー」
「おう。また来週、批判しようぜー」
クラスから出て行く友人の背中を見送り、オレは持ってきた小説を広げようとした瞬間であった。
「ねえ、なにがそんなに悪かったの?」
ふと隣から凍えるような声が聞こえる。
見ると、そこには目の中に一切の光を宿していないヤンデレ化している学園一の美少女、華流院怜奈の姿があった。
「ねえ、なにがそんなにつまらなかったの? 答えてよ。ちゃんと全部。一言漏らさず」
完全にイっちゃってる目で再び問いかける華流院さんにオレは明後日の方を向きながら答える。
「ええと、そうだね。まず異世界の現地人に地球の知識でマウントするのがうざいなーって思ったかなー。あと誰でも分かるような推理にいちいちドヤ顔で「お前が犯人だ」みたいに決めポーズするのもイラッと来たかなー。その推理パートがそこそこ手が込んでるならともかく、合鍵を作っていたとか誰でも分かりそうなネタをドヤ顔で言われてもねぇ……。というか主人公をヨイショするために周りの人達の知識が幼稚園児レベルにまで落ちてるのどうなの? ああいうの見るとすごくなんだかなーって感じがして」
「それの何が悪いんだあああああああああ!! 言ってみろこらああああああああああああああ!!!」
「ぎゃー!! ちょ、華流院さん! 落ち着いて!! 落ち着いてーー!!」
「お、おい! なんだあれ!? 華流院さんが誠一に掴みかかっているぞ!?」
「誠一のやつ、華流院さんに何か言ったのか!?」
「っていうか華流院さんのあんな姿初めて見たかも!? あ、あの人も怒るんだ……! ぎ、逆になんて言ったのか気になる……」
見ると周りに居たクラスメイト達まで騒ぎ始めている。
というか、見てないでお前ら助けんかーい!!
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