第3話
三
「……いないなぁ。やっぱり、そう簡単には見つからないかぁ」
取り敢えず、片っ端から目の前の扉を開けて調べ回ってみたものの……一向に地下牢へ続く階段など見当たらない。まだ調べていない場所は、あの奥に見えている扉で最後だ。
これで見つからないとなると、もう二階に上がるしかない。二階にだって、地下まで続く長い階段があるかもしれないしね。
……しかし、二階となると危険度が一気に増す。もしも、開いた扉の先に赤兎達がいたら、その時点で即アウトだ。
「あの最後の扉が、何とか地下まで続いていればいいんだけど……」
私は大きな溜息を吐きながら、一番奥にある扉の前に立つと、ゆっくりノブを回した。
中は薄暗く、部屋といえる程の広さはない。扉を超えたその先にはまた扉……と、比較的変わった造りになっていた。
――怪しい。これ見よがしに怪しい。
というか……明らかにここだろう。奥の扉には円型の窓がついており、そこから下に続く階段が見えている。ビンゴだ……!
だけど、鍵は開かないし……鍵穴もない。……これって、もしかして【アレ】じゃない?
ほら、アクションアドベンチャーゲームとかによくある、パスワードを入力して扉が開く……みたいな。
私は暗がりの中、周囲をじっくりと見回した。
「……あった!」
思った通り、【それ】は扉の隣の壁に埋め込まれていた。
「やっぱり……! これでパスワードを入力したら扉が開く仕組みなんだわ! そうとわかれば……」
私は急いで、その四角い箱の蓋をパカッと開けた。
「⁉ ……う……そでしょ……」
――絶望を感じるとは、きっとこのような時をさすのだろう。
目の前に並べられたアルファベットの配列……そして、ENTERボタン……
「何で数字四桁じゃないのよ⁉ こういう時は数字四桁に決まってんでしょうが! まぁ、数字でもわかんないんだけど……」
数字なら、適当に打ち込んでいけば、いつかは当たるかもしれない。……けど、アルファベットなんて無理。どう考えても、絶対に不可能だ。
「しかもこれ、文字数に制限がないじゃない! ――そっか! パスワードは何度でも変えられる仕組みなんだ。そう、何文字にだって…………いやいや、ちょっと待ってよ? 文字数すらわからないのに、どうやって暗号を当てろというの? 大体ここまで来る間に、何のヒントもなかったのに」
どうせなら某ゲームのように、書類だの書き置きだので、何かヒントを与えてくれてもいいのに! 脱出ゲームのように、色んなカラクリから答えがわかる仕組みにしてよ!
「……現実は、そう甘くないという事か」
これは予想外の展開だった。いや、私が馬鹿だったのだ。少し簡単に考え過ぎていたのかもしれない。船に入ったら、トントン拍子で地下への階段が見つかり、白兎を救出出来るものだとばかり思っていた。
でもよく考えたら、普通……牢には鍵がかかっているだろうし、私はその鍵を持ってはいない。白兎に何とかしてもらえるくらいなら、あの子はとっくの昔に自力で脱出しているだろう。奇跡的にロックを解除出来たとしても、先にある牢を開ける事は出来無いかもしれない……
「でも……この扉自体が牢である可能性も捨てきれない」
悩むのは後回しだ。……とにかく、ロックを解除しなければ。
【{island of the}(夜宴の島) banquet…………error】
【{full moon}(満月)…………error】
【{starry hill}(星降る丘)…………error】
【――error】
駄目だ……夜宴の島や赤兎に関するワードを片っ端から入力するも、エラーばかり。
「……{titania}(ティターニア)……と」
【error】
私はいつ来るかわからない追っ手に怯え、焦りながらも、無心にアルファベットを入力し続ける。
【{fairy}(妖精)…………error】
【{reaper}(死神)…………error】
「……駄目だ。解除出来る気がしない」
私は頭を抱えたまま、その場に座り込んだ。
「やっぱり無理だ。こんなの、わかる筈ないよ……」
一度弱音を吐いてしまえばそれまでだけど……容赦なく鳴り響くハズレ音とエラーの文字に、私はすっかり気力を失ってしまっていた。
「でも……ここで諦めるわけにはいかない」
少し頭をクリアにしてみよう。一つの事に固執し過ぎていたら、見えるものも見えなくなる。
それに、ここには元々見つかる覚悟で来たのだ。
赤兎達に見つかったって……それはそれで仕方がない。新たに別の突破口を見つけるだけだ。
……そうは言い聞かせてみるものの、やはり一度折れてしまった心は、簡単に元には戻らない。
「ソウくん……ソウくんなら頭がいいし、こんな暗号なんて簡単に解いちゃうのかな?」
――そう。きっと彼なら、暗号を解く鍵を見つけ出して……
? ソウくんなら、【鍵】を……? ――あれ? 何だろう……? 鍵って、最近どこかで耳にしたような……
どこで聞いたんだっけ? どこで……
『それは必ず、真実へと続く鍵となるだろう』
――そうか! あの時の……ソウくんの言葉だ!
『……どれだけ歩けば良いのだろうか? 交わる道のいずれかをゆけば……それは必ず、真実へと続く鍵となるだろう』
確かに彼は、そう言っていた。
「真実へと……続く……鍵? まるで、今の現状を物語っているみたい」
――これは偶然なのか? ……いや、偶然にしては出来過ぎている。
もしかしてソウくんは……私が近くにいる事に気付いていた?
いや、あの場所は完全な死角になっていた。彼が気付く筈などない……と、思う。
しかし、彼はずっと海を眺めていた。皆が森の方に目を向けていた時だって、ずっと……
彼が気付いていたのかどうかは……正直、私にはわからない。……けれど、こうも考える事は出来る。
彼はあの短時間で、私達の作戦に気付いた。私が黒兎とは一緒におらず、白兎や自分を助けに来る可能性がある。……そう思い、彼はあの言葉を口にしたのではないだろうか? たとえ私の姿が確認出来ていなくとも……念の為に、二度も。
これはきっと、ソウくんが与えてくれたヒントなのだ。赤兎や人形に知られぬようにと、文章に変えて発信した、彼からのメッセージ。
「……彼の事だ。きっと答えは簡単。捻る事もなくシンプルに伝えてくれているに違いない」
考えてみよう。考えれば、ちゃんと答えがわかる筈……
私はゆっくり目を閉じると……ただひたすら、考える事に集中した。
まずは……【どれだけ歩けば良いのだろう】。
いつまで……? 延々と……? ゴールが見えない……? 違う、そうじゃない。
どれだけ歩けば……それは、ずっと続いているという事だ。じゃあ【ずっと】とは、即ち……
そして……【交わる道のいずれか】。
……道は一つではない。交わるのだから、沢山の道があるという事。
人はそんな道の事を……果たして何と呼ぶ?
……この二つの暗号から叩き出される接点。
島、兎、満月、姉弟、神、人形…………ゲーデ。
――ゲーデ。ゲーデとは……ブードゥーの死神……
「死神……ずっと……交わる…………道……? ――あっ! それって、もしかして!」
その時、私の頭の中に残っていた【ある情報】が、鮮明に脳裏に映し出された。
『そうかい。伝承では……死者は皆【ギーネ】と呼ばれる神々の住処に向かうらしいのじゃが、その途中にある――と呼ばれる場所に、そやつは立っているらしい』
そして、彼の言葉……
『……どれだけ歩けば良いのだろうか? 交わる道のいずれかをゆけば……それは必ず、真実へと続く鍵となるだろう』
「――そうか! ソウくんが言いたかったのは、恐らく……」
彼の言葉から示されるであろう【真実】の言葉を……私は偶然にも聞いた事があった。
あの時、彼はあの場所にはいなかった。だから、その言葉を知っている筈がない。
それなのに……彼が残した言葉と私のそれは、見事に一致していた。
イコール、……これが【答え】だ。
まだ試してもいないのに、私はそう確信していた。
「……今回ばかりは、お婆さんのお陰ね」
魔女にあの書物を見せてもらっていなかったら、きっと……こんなに早くわからなかったと思う。
あの人には、本当に裏切られてばかりだったけれど……その点だけは深く感謝しよう。
「あと、ソウくん。貴方のお陰で道が開けそうだよ。……ありがとう」
私はふいに、この夜宴の島に来る前の事を思い出した。
あの頃の私は、立て続けに起こった不可解な出来事に対し……【彼を主人公としたストーリーが今、始まろうとしている】、なんて思っていたんだっけ。
けれどそれって、あながち間違いでもないだろう。
全てが全て、物語のように上手くいくとは……到底思えない。
このパスワードだって……いくら考えてもわからずに断念し、そのまま赤兎に見つかり、全員処刑……なんて事になっても全然おかしくはない。
けど……ちゃんと進んでる。前に進めている。
彼と出逢った事から始まりを見せたこの物語は、どんな苦境にも怯む事なく、乗り越えて、私達をここまで連れてきたのだ。
これはまるで、一冊の本だ。
夜宴の島と彼が創り出した……とても恐ろしく、そして美しい、素敵な物語。
「この物語の続きを知りたい。……だったら、立ち止まっている暇なんてないよね。早く二人を助け出さなくちゃ! でも……もしこの答えが違っていたとしたら、何だかカッコ悪いなぁ、私。……ふふ、なんてね」
ほんの少しだけ余裕を持った笑みを浮かべながら、私はキーワードを入力した。
【{eternal intersection}(永遠の交差点)】
ピッという音と共に、画面に【clear】という文字が表示される。
扉がカチャリと開く音が聞こえた。
扉を開け、急いで階段を駆け下りると……六畳くらいの部屋で倒れている青年の姿を見つけた。
「シロくん⁉」
白兎の細い足首には、鎖で繋がれた足枷のような物が付けられている。その足首は、痛々しい程に赤く擦り切れていて血が滲んでいた。
「しっかりしてよ! シロくん!」
私の声に、白兎はゆっくりと目を開ける。その姿はまるで……仕掛けられた罠に引っかかってしまった、小さな子兎のように見えた。
「ミズホ……来てくれたんだね。僕、君が来るのをずっと待っていたんだ……」
白兎は弱々しくニコリと笑う。額から汗が流れていたので、私は急いでポケットから小さなハンカチを取り出すと、白兎の額にそっと当てた。
「酷い……! 足から血が出てる……これ、痛いよね? 酷すぎるよ」
「こんなの……大した事はないよ。大丈夫」
白兎はゆっくりと上体を起こすと、自由のきくその手で私の頬に優しく触れた。
「……良かった。また逢えた。もしかして……もう二度と君に逢えないんじゃないかって、心配してたんだ」
「……ごめんなさい。私があの時、逃げ出したりしなかったら、シロくんがこんな目に合う事もなかったのに」
「あはは、ミズホのせいじゃないよ。赤兎は最初から僕を殺すつもりだった。だから……遅かれ早かれこうなっていたと思う。君が気にやむ必要なんてないんだよ」
やはり白兎は優しかった。私はその優しさに、心が痛んだ。
こんな場所にたった一人で閉じ込められていて、足枷まで付けられて……明らかに体力が消耗しているのがわかる。弱っているのがわかる。
それなのに、心配をかけまいと笑う白兎に……心が痛んだのだ。
「その足枷、外せないんだよね?」
「うん。……ミズホ、これを見て」
白兎は{徐}(おもむろ)に、右手で左手の袖をまくる。その露わになった左腕には、真っ黒な腕輪が付けられているのがわかった。
それには赤いインクで、よくわからない文字がビッシリと書き込まれている。……まるで、血文字のようだ。
それ以外、特に装飾等は見られないが……とにかくそれは、悪趣味としか言いようがないくらいに不気味で奇妙な腕輪だった。
「これ……どうやら、妖力を封じる事が出来るみたいなんだ。これのせいで足枷は外せず、外に出る事も出来ない。……お手上げだよ」
白兎は、『まぁ脚の鎖は結構長いから、ある程度の移動は出来るんだけどね』と、苦笑いを浮かべた。
「ねぇ、シロくん。この腕輪には……一体、何て書かれているの?」
「こんな文字、僕だって初めて見るよ。まったく見当もつかない。まぁ……書かれているのが、決して良い言葉ではないって事くらいはわかるけどね」
「……確かに」
私は腕輪にそっと触れてみた。一目見ただけで充分伝わるが、触ると、なお一層良くわかる。
これはかなり頑丈な代物だ。私には、どう考えても取り外せそうにない。
「とにかく、ここから脱出する方法を考えないと。このままじゃ……みすみす殺されるのを待つだけだ」
白兎はわかりやすく溜息を吐くと、左腕を上げ、じっと腕輪を見つめていた。
鎖に繋がれた足枷に、奇妙な腕輪。
今の現状から……これらを打破する方法が、全くといっていい程に見つからない。
せっかく白兎に会えたというのに、このまま赤兎や死神が来るのをここで静かに待つしかないのだろうか?
……いや、まだ黒兎がこの場所に来てくれる可能性だってある。
(大丈夫だ。……信じて待とう)
私は、白兎の方に顔を向けた。
「……ねぇ、シロくん。その血は、赤兎達にやられたの?」
「……え?」
「ほら、着物についてる血……」
実は……先程からずっと気になっていた。白兎の着ている着物の肩の部分や首元に、血の跡が残っている。それに、この部屋の床にも少量だが血痕が付着しているのだ。……どこか、怪我でもしているのだろうか?
「ん? これ? ……きっと、足を怪我した時に手で擦っちゃったんだろうね。それが付いただけだよ! ……そんな事よりもさ、あれから何があったか教えてよ。何か、進展はあった?」
白兎は私と一切視線を合わせる事なく、わかりやすいくらいに話題を変えてきた。……何だか、凄く怪しい。
けど、確かに白兎の利き手である右側の袖にも血が染み込んでいるし、肩や首元に傷跡らしきものは見当たらない。大体そんなところに傷なんてあれば、もっと着物に滲んでいてもおかしくはない筈だ。
やはり白兎の言う通りなのだろうか……? それとも……
とにかく私は、黒兎に伝えた事と同じ内容を白兎にも伝えておこうと思い、口を開いた。
「そうだった……話さなくちゃいけない事が沢山あるの! あれからね、実はた――」
「……⁉ 待って!」
私が説明を始めたと同時に、白兎が大きな声でそれを止めた。
いきなりどうしたのだろう……?
私は、白兎の言葉に耳を傾けた。
「……ちょっと待って、ミズホ。君の周りから妖気を感じる。さっきまでは全く感じなかったのだけど……」
「妖気……?」
私がそう口にした途端、突然部屋中が白い煙幕のようなものに包まれた。
「なになになに⁉ なんなの! これ⁉」
「……シッ。大丈夫だよ、ミズホ。悪い気は少しも感じない。いや、寧ろ……」
真っ白になった部屋から、小さなシルエットが浮かび上がる。やがて靄のようものが晴れると、その姿が露わとなった。
「やれやれ、やっと戻れたわい!」
「――あっ! って……あぁーー! た、狸のお爺さん⁉ ご、ごめんなさい! 私、今の今まで存在を忘れてました!」
「やれやれ、困ったもんじゃ。……それにしても、爺さんめ。あんなに小さくされとりゃあ、元の姿に戻るのも至難のワザだったわい! ……はぁ、足腰が痛い」
腰を丸く曲げた小さな老人の身体は、普段よりもずっと小さく見えた。
「狸神……! 一体、どうやってこの島に……!」
白兎は目を丸くしながら、狸の顔をまじまじと見つめた。
「なぁに……全部、この娘さんのお陰じゃ。娘さんがなぁ、魔女の道具を使い、古道まで知らせに来てくれたんよ。娘さんに感謝せぇよ、白兎? こん娘さんはな、お前が思うちょる以上に{逞}(たくま)しく勇敢なおなごじゃわ」
「い、いや……私はそんな、大した事は……」
「は……はははっ! あははははははは!」
白兎はお腹を抱えながらケラケラと笑う。その顔はとても清々しく見えた。
「ミズホ、君って人は……本当に! 毎回思いもよらない行動を起こしてくれるよね? それも、いつも僕らをいい方向に導いてくれる。本当に最高だよ! 君は!」
白兎のこんな飾らない笑顔を、私は久し振りに見たような気がする。私と狸の老人の頬も、思わず緩んだ。
けれど、そんな穏やかな時間は……残酷にも、一瞬で掻き消されてしまうものだ。
楽しそうに笑っていた白兎は、急にゲホゲホと咳き込み、手で口を押さえつけた。
白兎の指と指の間から、つぅっと赤い血が流れる。
「――⁉ シロくん!」
「いかん! 白兎! はよ、横になれ!」
狸の老人は、直様白兎をその場に寝かすと、眼球を開いて見たり、胸に耳を当ててみたりと、まるで医者のような行動を取った。
白兎は、オロオロとした表情で私を見つめた。
「……違うんだ! これは本当に何でもないんだよ。だからミズホ、そんな顔しないで……? ――お願いだから」
「少し黙らんか! ……大丈夫じゃ! 今、薬を飲ましちゃる!」
狸は巾着から紫色の粉薬を取り出すと、急いでそれを白兎の口に流し込んだ。そして、腰につけてあったひょうたんの栓を抜き、中に入っていた水をゆっくりと白兎の口に含ませる。
――そうか。あの肩や首元の血、床に落ちていた血痕は、きっと……
どうして気付いてあげられなかったのだろうか。黒兎も言っていたではないか……白兎の身体が、また悪くなっていると。
『あいつの身体は治ったわけじゃねぇんだよ。きっと……永くは生きられない』
私は黒兎の言葉を思い出し、キュッと下唇を噛んだ。
「……ミズホ、僕は大丈夫だから心配しないで。こんな所に閉じ込められていたから、ストレスでも溜まったのかな? ……ははっ! けど大丈夫! 今薬も飲んだし、もう平――」
「お願い……嘘吐かないで。私、全部知ってるよ? シロくん……最近また調子が悪いんだよね? 全部全部、知ってるんだよ」
白兎の表情が見られない。今、白兎の顔を見ると……私きっと、泣いてしまいそうだから。
「……もしかして、その姿になったから? 前に言ってたよね? 青年の姿になれたのと引き換えに、寿命が縮んでしまったって。もしかして……それで身体が悪くなってしまったんじゃないの?」
「――違う! そうじゃない。身体の調子が再びおかしくなり始めたのは……僕が、この姿になる前からの話だ」
「だったらどうして⁉ その姿になる事で、更に寿命が短くなる事くらいわかっていたでしょう⁉」
「……それでも、だ。一度くらい、自分のしたいように生きたっていいじゃないか? それを止める権限なんて誰にもない。勿論、ミズホ。……君にもだ」
「シロくん……」
「まぁまぁ! 二人とも落ち着きんさい。白兎の身体も……今すぐどうにかなるっちゅうわけでもない。とにかく、先に白兎の足枷と手錠を外してやろう。話はそれからにしんしゃい」
「え……お爺さん! これ外せるの……⁉」
「こんくらい朝飯前よ。儂に任しておけ」
狸は宣言通りにチャチャっと足枷を外し、腕輪を破壊した。それも、妖力を一切使わずにだ。
どこから取り出したのか、細長い針のような物で鍵穴をクイクイと弄り回すと、足枷は思いの外、簡単に外れてしまった。
「えっと……なになに? ……ふぅむ。成る程な」
更に老人は、腕輪にビッシリと書き綴られた文字の解読を急ぐ。正しい文字を正しい順序で、針を使って上からなぞると、腕輪はパカリと真ん中で割れた。『流石、年の功!』、と言わざるを得ない。
腕輪に彫り込まれていた言葉の意味を老人に尋ねると、【地獄の苦しみを与える】などと物騒な単語ばかりが飛び交うものだから、気味が悪くなり……私は落ちていた腕輪を思いっきり壁の方に蹴り飛ばした。
「――という事なの」
「成る程ね。現状は大体理解したよ」
私は黒兎にも伝えたように、白兎とわかれてから魔女と出会い、魔女の力で狸の住んでいる古道に行った事。そこには、狸と仙人がいた事。仙人の力により、狸はこの地に来られた事。仙人は後から別の方法で合流してくれるという事を、ざっと説明した。
双子達に人間の血が混じっている事。そして赤兎の、所謂、二重人格説は……黒兎と白兎が二人揃ってから話す。
だから、今……白兎に伝えられる情報はこれくらいだ。
「ミズホ、さっきの話の続きだけど……」
「……うん」
白兎はそっと、口を開いた。
「人間はさ、大体の寿命が決まっているよね? だから、年を重ねるごとに死期が近付いていると気付く事が出来る。増える皺や体力の低下、老いていくその身体から、徐々に死に対する覚悟が生まれ始めるんだ。……けどさ、僕らはいつ死ぬかなんてわからないんだよ。何百、何千、何万と生きる者がいる中で……果たして自分はいつ死ぬのか? 百二十年は生きているけれど、僕の姿はいつまで経っても子供のまま……老いから寿命を感じる事は出来ない。そもそも年を取らない神や、最初から老人の姿の神も沢山いる。年老いているから死ぬという概念は、僕達にはないんだ」
「シロくん……」
「それってさ、よく考えてみれば怖いよね? 常に死と隣り合わせなのに、その覚悟すら与えられないまま……僕達は突然死ぬんだ。そう考えてみると、今の僕のこの身体のように、命が削られていくさまを身を以て知る事で……得られるものも沢山あるんだよ」
白兎はゆっくりと立ち上がると、私をじっと見据えた。
ずっと足枷を付けられていたせいか……白兎は上手く立ち上がる事が出来ずに、少しよろけた。
「だ、大丈夫⁉」
「……ん。大丈夫。すぐに慣れるよ」
そう言って白兎は笑うと、話を続けた。
「昔の僕は死ぬのが怖かった。どうして僕だけがこんな目に⁉ と、嘆いた事も何度もあったよ。……けど、今の僕はね? 自分の命なんていつ尽きようが構わない。そう思ってる。だから、自分の寿命が縮もうが死期が近かろうが……どうだっていいんだ。ようは、どう【生きた】か。僕は、今の生き方に悔いなんてないんだよ。……そう思えたのは、ミズホ。君に出逢えたからだ。――ありがとう」
白兎は私の髪をそっと撫でる。柔らかい感触が頭の上でポンッと跳ねた。
私はとにかく声が震えて……白兎の言葉に、心までが切なく震えて……それ以上、何も言う事が出来なかった。
「ただ……僕がいなくなってしまった後に、黒兎が独りきりになってしまう事が気がかりだ」
「――白兎。また薬を飲めば平気じゃよ。きっとすぐに良くなる。だから、あまり深く考える事はない。それに、たとえおまんが早う死んでしまったとしても、あん娘なら大丈夫だわい。黒兎はとても強い娘じゃ。それに儂達もおる。なんも心配する事なんてないぞ」
「……ははっ、それは安心だ! ついでに神童があのじゃじゃ馬娘を嫁に貰ってくれたら、なおの事いいんだけどね!」
白兎は突然、パンパンと手を叩いた。
「さぁて、暗い話はここまでにしよう。早くソウを助けださないと。黒兎の事も気になるしね! これから赤兎と死神とのご対面だ、引き締まっていかないと。……正直、僕や黒兎の力ではまったく歯が立たない。狸神、期待しているからね!」
「この阿呆! 年寄りをアテにするでないわ! そもそも儂は戦闘タイプではないんじゃからな。……まったく、先が思いやられるわい」
「行こう、ミズホ! ソウの元へ!」
私は目尻に溜まった涙を拭き、大きく頷いた。
私達は地下牢の階段を上がり、部屋から出る。ちょうどその時、【ピンポンパンポン】と、放送の合図が聞こえてきた。
『ふふっ……ご機嫌よう、ミズホ。そろそろ白兎……あら? ハクでしたっけ? とにかく、病弱カスを助け出したところかしら?』
「赤兎……!」
「この声……どこから⁉」
「……二人とも、静かにせい!」
狸は『シィ~!』っと、指を一本立てた。
「その何の役にも立たないグズを助け出したなら、さっさとここまでいらっしゃいな? わたくし、退屈で退屈で堪りませんわぁ! もう退屈過ぎて死んじゃいそう!」
一人で延々とお喋りを続ける妖精に、私達は顔を見合わせた。
――やはり、気付かれていた。船の中に誰もいないのは、赤兎が仮面達に指示をし、どこかで待機させているという事なのだろうか?
そんな事を頭で考えていたら……赤兎は偶然にも、その返事とも取れる発言を返してきた。
『心配しなくても、今この船にはわたくしだけしかいませんわよ? 全員、黒兎と追いかけっこ中ですわ。早くソウを助けにいらっしゃい。早くしないと勢い余って、わたくし……彼を殺してしまうかもしれなくってよ? もうね、あのブスで馬鹿な黒兎のせいで、わたくしストレスが溜まっておりますの。だから……早く貴女達で発散させて下さいな♪』
――わたくし以外? 何だ……? 何かが引っかかる。嘘とか罠とか……そういう意味ではなくて。
「……ミズホ、ゆっくり移動しよう」
「うん……」
私達三人は、放送を聞きながらゆっくりと歩き始めた。赤兎がいる場所は、やはりあの玉座のある部屋との事だ。いくら船が広いと言えど、階段を登って真っすぐ行けばすぐに辿り着く。距離など、殆ど無いに等しい。
『――ねぇ、ミズホ? 貴女……よく偽善者って言われません? この島と何の関係もない貴女が……何故、黒兎や白兎を救おうとするのかしら? 何の力もない人間風情が、自殺願望でもあるのかしら? わたくしね、貴女のその無駄な正義感を見ているだけで苛々するし、虫唾が走りますの。けれど、そんな貴女にしか出来ない事があるんですのよ? ……ねぇ、貴女に救える命がある事をご存知?』
「私にしか出来ない事……? 救える……命……?」
「耳を貸さんでいい。放っておけ」
『貴女……ソウと双子の命を天秤にかけたら、どちらを選ぶのかしらねぇ? あ、『代わりに自分の命を!』は無しでしてよ? ナンセンスですし、もの凄~く萎えますから。……いくら全てを救いたいと思っていても、全員は救えない。そうなれば、貴女は必ず【恋】を取るでしょう。恋に溺れた雌は、愛する雄の為なら何でも出来るし、全てを捧げられるものだわ! そしたら、貴女を信じた白兎や黒兎は……まるでボロ雑巾のように捨てられる。何て素敵ですの! 考えただけでゾクゾクしちゃいますわぁ!』
私はピタリと足を止めた。
「……娘さん、赤兎の言葉に惑わされるな。心配せんでも儂がそんな事はさせんよ。だから、一人で背負いこまんでいい」
「そうだよ……ミズホ。赤兎はまず、言葉で相手を支配しようとするんだ。心を痛めつけて、戦意を喪失させ、思い通りに操ろうとする。今あいつは、君の心に揺さぶりをかけているんだよ。――それに屈してはいけない」
私と同じように二人も足を止め、じっと私を見つめてそう言った。
放送は、いつの間にか止まっていた。
「うん……わかってる。大丈夫」
赤兎の言葉に惑わされてはいけない。耳を貸してはいけない。そんな事くらい、ちゃんとわかっている。
けれど……でも……
わかってはいても、もしそんな選択を強いられてしまえば……私は一体、どうすればいいのだろうか?
片方を犠牲にして、もう片方を救う。
……そんなの嫌だ。そんな事、出来ないよ。
不安に包まれた私の心が、どんどん真っ黒になっていくのを感じた。
そうこうしている内に私達は、赤兎のいる部屋の前に着いてしまった。心臓が、激しく波を打つ。
「……僕が先に行くよ。狸神は念の為に、ミズホの後ろに付いて、彼女を守ってあげて」
「わかっておる、任しておけ」
そう言うと白兎は先陣を切って、扉を思いっきり開け放った。
……中には赤兎はいなかった。
けれど――
「え?」
私は白兎を追い抜かし、部屋に入る。
「嘘……でしょ……?」
私の目の前には、床にうつ伏せになって倒れている彼の姿があった。背中に刺さったナイフから……ドクドクと血が流れている。
「ソウくん……やだよ、返事してよ……ねぇ!」
私はしゃがみ込んで、そっと彼に触れた。べっとりとした生暖かい血液が、鮮やかな程に私の手を真紅に染める。
「ねぇ、ソウくん……⁉」
どれだけ語りかけても、彼は一切言葉を発しない。身動き一つしない。
彼はもう……息をしていない。
「嫌だ……! 嫌だ嫌だ嫌だ! いやあああああああああああ!」
気が狂ってしまいそうなくらいの衝撃を受けた私は、彼の亡骸を抱きしめながら、大声で叫んだ。
「ミズホ! 騙されないで! それはまやかしだ! 心を……心を強く持って!」
白兎の声は、ちゃんと私の耳まで届いていた。……けれど、これがまやかし?
――そんな筈ない。
だって、確かに彼は……私の目の前で死んでいるのだから。
「……嫌だ。ソウくん、死なないで! お願いだから生き返ってよぉ!」
「ミズホ、少し落ち着いて! どうしてわからないんだ……⁉ そこにソウはいない! 今、君が見ているのは幻覚なんだよ!」
「――無駄じゃ! 白兎、どきんしゃい!」
狸は白兎の身体を押し退けて、私の目の前に立った。……そうだ。狸の老人なら彼を……ソウくんを助ける事が出来るかもしれない。
私は目から大粒の涙を流しながら、狸に訴えかけた。
「お爺さん、どうしよう! ソウくんが息をしていないの。お願い……ソウくんを助けて。お爺さんなら出来るでしょう⁉ 早く助けてよ! 早く……!」
「赤兎め……なんと悪趣味な事を。……娘さんや、お主は今、厄介な闇に心を取り込まれようとしておる。儂に任せておけ。すぐに祓ってやるわい」
狸は一枚の葉を口の中に入れると、それをバリバリと噛み砕いた。
「お爺さん……? 何を……」
そして、ひょうたんの水を口に含むと……眠っている彼の顔を目がけて、それを勢いよく噴き出す。水に濡れた彼の皮膚の色は緑色に変わり……醜く歪み始めた。
砂が風にサラサラと流されていくかのように、爪先から順に、彼はゆっくりとその場から姿を消していく。
突然の出来事に、私は思わず言葉を失った。
すると、今度は閉じられていた彼の目が、急にパチリと開かれる。そこには、本来ならある筈の眼球が見つからず……中はまるで、ブラックホールのようだった。
半開きになり、ヒクヒクと動かされた口の中も、歯や歯茎などは一切見当たらなく……ただ、漆黒の闇に支配されているだけ。
「あ、あああああ……」
恐怖からか……まるで、まだ言葉として成立していない赤ん坊のような声が、私の口から漏れる。
頭では、ようやく理解し始めていた。これは……彼などではない。
――やがて、その【彼】だった者は……その場から消え去った。
「キャハハハッ! 面白い余興でしたわぁ!」
突然聞こえてきた声の方角に目を向けると、先程までは、確かにいなかった筈の赤兎と彼がそこにいた。
堂々と玉座に腰を下ろし、こちらを見ながら大声で笑う赤兎を、私は思わず睨み付けた。
「酷い顔ですこと! おかしくって堪りませんわぁ。……御覧なさい、ミズホ。ソウならここにおりましてよ? ずっと貴女を呼んでいたのだけれど……うふ、ザンネンですわ。邪魔さえ入らなければ、貴女が壊れていく様をじっくりこの子に見せて差し上げられたのに」
彼は赤兎の横で辛そうな顔をしながら、じっと私を見つめていた。
「――赤兎。君は悪魔だ……これ以上、君の好きにはさせない」
白兎は歯を食い縛りながら、赤兎を鋭く睨み付ける。それに応えるように、少女は妖艶に笑うと……その愛らしい小さな唇を大きく開いた。
「わたくしの名前はティターニアだと、何度言えばわかるのかしらぁ? ……この、馬鹿兎が。それに~わたくしは悪魔などではなく、美しくて可憐な【妖精の王妃】でしてよ? こ~んなに可愛いわたくしが悪魔なわけないじゃな~い! 貴方の目は節穴かしらぁ?」
赤兎は玉座から二、三歩前に出ると、腕を組みながら、白兎を馬鹿にするかのようにクスクスと笑った。
その一連の出来事を見ていた狸が、そっと少女に語りかけた。
「赤兎、もうこんな事は止めるんじゃ」
「あら……? 初めまして、かしら? 小さなお爺様。どうやってこの島にいらしたのかしら? それと……わたくしの名前は赤兎ではなくティターニアと申しますの。以後気を付けて頂けます? でないと、老い先短い生命が更に短くなってしまいますわよ?」
「――初めまして? 何を言ってるんだ? 狸神を知らないとでも言うのか……?」
「? 存じ上げませんけれど? 以前、どこかで会った事がありましたかしら?」
「これは……一体、どういう事じゃ……?」
赤兎と白兎と狸の老人は口論を続けているが、今の私は怒りに打ち震えていて、話の内容が頭に入ってこない。
――絶対に許せない。こんな事、許される筈がない!
私はゆっくりと赤兎の方に歩いて行き、少女の目の前で立ち止まると……渾身の力を込めて、赤兎の頬を引っ叩いた。
思っていた以上に小さな少女の身体は軽く、簡単に床に叩きつけられた。
「こんな事をして……何が楽しいの⁉ ――命を弄ばないで!」
赤兎の目付きが変わる。明らかに雰囲気までもが変わった。けれど、怯むものか。
彼が生きていた事は素直に嬉しい。……しかし、やっていい事と悪い事がある。
こんな子に負けない。絶対に、屈したりしない!
「ソウくんを返して! 私は貴女の事なんて……怖くもなんともないんだから!」
「いかん! 娘さん! あまり挑発するでない! ――白兎っ!」
狸がそう叫ぶと、白兎は即座に私の目の前に現れた。私は、白兎の後ろに隠される。
「タチバナ……ミズホぉおお! 絶対に許さないですわ! ……殺してやる。惨たらしく、八つ裂きにしてぶっ殺してやる! わたくしを{打}(ぶ)つだなんて……お前、覚悟は出来ているんでしょうねぇ? 泣いて懺悔しても絶対に許さない。その忌々しい目玉をくり抜いて、お人形の目にしてやる……! わたくしを殴ったその手をバラバラに切り刻んで、全てお前に喰わせてやる……! その偉そうな口で存分に味わうがいい!」
赤兎はフフ、と息を荒げながら、素早く立ち上がった。
「やめるんじゃ! 赤兎!」
「うるせぇよ、糞ジジィが! わたくしの邪魔を……するなぁあああ!」
赤兎は飛び上がり、狸に攻撃を仕掛ける。老人は素早く巾着から二枚の葉を手に取ると、それを大きく振り上げた。
それにより生まれた突風が、少女の身体を容赦なく吹き飛ばす。
「ぐっ……!」
「どうしても娘さんを攻撃しようとするならば……まず、この儂が相手になってやるわい。さぁ、赤兎よ。立ち上がるがいい」
狸は胸元から狸面を取り出し、さっと顔にかけると、挑発するかのように手をクイクイっと内側に動かした。
「ジジィ! ……いいだろう、てめぇから殺ってやるよ! 後悔すんじゃねぇぞ?」
赤兎はゆっくりと立ち上がる。そしてブツブツと何かを唱えると、二人の周りを一瞬にして青い炎が囲んだ。近付く事すらままならない。
(白兎、娘さん、青年よ……聞こえるか⁉)
頭の中に狸の老人の声が響き渡る。どうやら、彼と白兎の耳にも届いているようだ。私は頭の中で返事を返した。
(気付いておる者もおるだろうが、赤兎の傍にゲーデがおらん。きっと黒兎の方に行っとるに違いない。あん娘が危険じゃ。――しかし、これは転機でもある。あやつがおらん今が、赤兎から死神を離す絶好のチャンスじゃ! これを逃すわけにはいかん! 赤兎は今、我を忘れておる。ここは儂に任せて黒兎の所に行きんしゃい! さっきの一撃を受けてわかった事じゃが、今の赤兎相手なら儂は負ける気がせんよ。心配は無用じゃ!)
狸の老人のいう通りだ。先程から老人は少女の度重なる攻撃を交わし、跳ね返し、まったく引けを取ってはいない。
(急げ! ……あと娘さんよ。赤兎の話を聞き、儂は一つ気付いた事がある。あん娘の言葉をよく思い出すのじゃ! その考えに行き着く事が出来るのは、今の所あんたしかおらん。……頼んだぞ! ――さぁ、早く行きんしゃい!)
気付いた事……? それって……
「……行くよ、ミズホ。狸神の言う通りにするんだ。今の僕らは足手まといでしかない」
「け、けど……ソウくんが! あの炎が邪魔をして……こっちまで来れないよ! どうするの⁉」
「大丈夫だよ。ソウには既にコンタクト済みだけど、あいつはとっておきのアイテムを隠し持っている。平気さ!」
「あ、アイテム……?」
白兎は彼の方を見て頷くと、彼はそっと耳に触れ、何かを手に取ったように見える。耳の上に……何かを隠していた?
彼は、素早くその小さな物を口に放り込むと、突然姿を消した。
怒りで我を忘れた赤兎は、狸との激しい交戦で、彼が消えた事に気付いていない。
「魔女だよ。やってくれるよね! ――さぁ、僕らも行くよ! ……今だ!」
白兎は私の手を引き、入って来た扉を開くと、一目散に走った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます