第8話 探偵の結末
「自殺に見せかけた殺人ではなく、殺人に見せかけた自殺だったとは……。
でも、彼女の復讐は、君のおかげで達成できなかったわけだ」
アートリア嬢の言葉に、ルーナ嬢は左手でくせっ毛をイジりながら、
「そんな事はないと思います。
「なかなか、
その言葉に、ルーナ嬢はうなずいて見せた。
「さて、ルーナ。仕事先に送っていこう」
アートリア嬢はそういいながら、愛車の助手席のドアを開ける。
「……」
珍しく文句もいわずに、ルーナ嬢は黙ったまま助手席に座った。
「何かあったかい?」
「――辞めさせられた……」
ボソリと彼女は呟いた。
「えっ、何だって?」
「――辞めさせられたんです。図書館……」
「そんな……ひょっとして、ボクの所為かい?」
「
そうルーナ嬢は口にした。やはり、植民地出身のイギリス人かもしれないが、
この国はそういった差別は敏感だ。
口では平等と唱えてはいるが、実際はこんな事ばかりだ。
「ひとつ提案していいか?」
「スターリング、何ですか?」
「ボク等で探偵社をやらないか? 君の頭脳とボクの行動力を合わせれば、上手くやっていけると思う」
アートリア嬢はそんな事を考えていたようだ。
急な申し出であったが、ルーナ嬢は黙ったまま左手でくせっ毛をイジっている。
「――まっ、考えてもいいかしら……」
「よし、そうと決まればお茶をしながら、打ち合わせをしよう!」
と、アートリア嬢は愛車を走らせはじめた。
「
「何だって?」
「――できれば、
「――
〈了〉
シェアハウスの殺人/スターリングとロマーノの事件簿 大月クマ @smurakam1978
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