シェアハウスの殺人/スターリングとロマーノの事件簿

大月クマ

第1話 第一発見者

 きのう、失恋した。

 正確にいえば、きのうの夜までは望みはあったはず。


 深夜にを聞いたときは、その僅かな望みは消え去ってしまった。


 その音はすぐに銃声だとは気づかなかった。

 爆竹のような、車のバックファイヤーのような、そんな音だったから――


 だけど、考えてみれば銃声だ。


 確認したくなかった。怖くなって、枕を抱えて寝てしまった。

 わたしは知っていたから……あなたが護身用に小さなピストルを持っていたことを――


 そして、朝、あなたが顔を出さなかったことが、ますます怖くなった。


 わたしは意を決して、あなたの部屋の扉を開けた。

 すると……なんということでしょう。

 あなたが倒れているのが目に入って来たではないですか。

 何かを訴えるように、青い瞳をカッと開けたまま仰向けに倒れて――


 わたしは一瞬、その美しさに心を奪われて、冷たくなった頬をさすってしまった。


 ああ……なんでこんなことになってしまったのでしょう。


 思えば……そう、あいつの所為だ。

 わたし達は上手くいっていた。

 大学時代から、わたしはあなたのことが好きだった。

 卒業してから、ルームメイトを申し込まれたときは、わたしはどんなに喜んだことか。

 これからもふたり一緒に暮らしていく……そう思ったのに、あの男が!

 あの男が現れてから、あなたの様子がおかしくなった。


 すべて、あの男達の所為だ。


 あなたが結婚するなんて言い出すから、こんなことになったのよ。

 そうに決まっている!


 あなたを死に追いやった、あの男達に復讐しなければ――

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