Takuboku blues

jin-inu

第1話

知り合いが偉くなるのが、これほど堪えるなんてな

昇進なんて関係ねーと思ってたけど、ただの強がりなんかな、おれ

あいつの嬉しそうな顔が目に焼き付いちゃって眠れそうにないわ、今夜

男の嫉妬ほどみっともねーもんはないけどな

どこで差がついちゃったのかね、しかし


こういうときは、花でも買って帰るか

やつも、そう言ってたしな

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ、か…


「ただいまー…」

「あら、早かったわね、お帰りー…なにそれ?」

「いや、花…おみやげ…」

「へーえ、めずらしいじゃんw…どうかしたん?あんた、そんな食べれんモン買ってきて、今日なんかの記念日やったっけ?」

「いや、ちがうけど…」

「ってかまだ晩ご飯できてないよ?」

「ん?ああ…ビールは?…」

「あー、今日買い物行くのダルくて、切らしてるわーw」

「じゃ、おれちょっとコンビニまで行ってくるわ…なんかいるモンある?」

「おかずーw」


働けど働けど猶わが生活楽にならざり

ぢっと手を見る

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