本を開くと異世界へ
たにょん
第2話 武器
何かに追いかけられている。
長時間走っていて追いかけてきている生き物が何なのかも忘れた。ただ止まったら死ぬだろうということだけがわかる。
必死に足を動かす。足が悲鳴を上げているが、気にしない。というかできない。
そういえばここどこだろう。一面真っ暗で何もない空間だ。
無駄な思考に意識を割いていると足がもつれて転んだ。
起き上がろうとすると、足がうまく動かない。限界のようだ。
せめて相手の顔でも見てやろうと振り向く。目の前に巨大なGがいた。
♢
飛び起きる。辺りを見回すと殺風景な部屋だった。
「なんだ夢か」
誰しも経験したことがあるだろう。生命体Gに追いかけ回される夢を。
そんなことはどうでもいいとしてここはどこだろう?
ベッドから降りようとすると身動きが取れないことに気づく。布団も心なしか膨らんでるように見える。
布団をめくると全裸の少女がいた。思考が固まる。
全裸少女が隣に寝ていることにあたふたしていると少女が呻く。
「ん・・・」
そして少女が目を開き体を起こす。
「ふわぁ〜、おはようございます」
目をこすりながら挨拶をしてくる。少女に声をかけられ少し冷静になり昨日のことを思い出す。
本開いたら異世界に来た→ウィリという少女がいた→この世界の自分の家に帰って寝た→起きたら全裸少女いた(今ここ)
目の前の少女はよく見るとウィリのようだ。
「おはようウィリ。ちょっと質問いいかな?」
「なんです?」
「どうして俺と同じベッドで寝ていてしかも全裸なんだ?」
「それはもう・・・ね?」
ね?ってなんだ!?俺何したんだよ!
俺が慌てふためいているのを見て満足したのか。
「順番に答えていきますと、寝台がこれしかなかったので、全裸なのは寝るときは裸派だからです」
こう答えた。
何もしてないことに安心しつつ、何もなかったことにがっかりした。
そんな朝の一幕だった。
♢
朝食を食べ終え今日のスケジュールを決める。
「ウィリまず何をすればいいと思う?」
「そうですね〜、とりあえず武器を作りましょう」
「武器?」
「そうです武器です。この世界では魔物が出るので護身用の武器は必須です。それを作りましょう」
作る必要はあるのだろうか?
「ありますよ!自作武器はRPGのロマンですよ!刀鍛冶とかしましょうよ!」
ウィリが熱く語る。わからないこともないので付き合うことにする。
「でも武器作るって言っても設備や技術がないぞ」
「それは安心してください。鍛治工房ならこの屋敷にもありますし、技術は◯ーグル先生でなんとかしましょう!」
なんかいけそうな気がしてきた!
「でしょ!」
予定が決まったので早速鍛治工房に向かう。
♢
鍛治工房につき炉に熱を入れたところで気づく。
「材料ない」
「そこは私にお任せください!」
そういってウィリが手を伸ばす。するとそこに黒い穴があいた。そこに手を突っ込み鉄を取り出した。
「ふっふっふーすごいでしょー」
そうドヤ顔で言ってくる。
「すごいすごい」
「適当ですね・・・まぁいいとして、これは次元収納と言って物を入れたり出したりできます。中に入れてるものは時間が停止したりします。まあよくあるやつです」
「よくあるやつだぁ〜」
材料もあったので鍛治を始めよう。
『余っているスキルポイントがあります。(スキルメニューを表示したい場合スキルと唱えてください)』
「スキル」
『
未使用ポイント 10(使用ポイント0)
戦闘 0
生産 0
魔法 0
その他
』
こんなウィンドウが出てきた。
『このメニューでは各種スキルにポイントを割振れます。目安としては1で素人2~6で下級6~10で中級10以上で上級となっています。ポイントを割り振りたいときはそう思えば割振れます。振り直しにはアイテムがいるので気をつけてください』
ほう、ゲームみたいだな。戦闘や生産はわかるがその他ってなんだろう?
『その他には運とかそういうのが関わってます』
アバウトだな。
とりあえずどれに振ろうか。鍛治を作るので一応生産に振っておくか。
『
生産 0 → 10
選択を決定しますか?
』
「決定」
そう唱える。ウィリは不思議そうにこちらを見ている。
スキルが強化されたためか手に持っている槌が手に馴染む。
準備が完了した。鉄を炉に入れ叩く作業を繰り返す。伸ばしては折って重ね合わせて叩く。そんな単純作業に没頭する。
しばらく叩いているとここだ!という感覚に襲われたので、仕上げに入る。
焼入れをし銘を刻む。刃を研ぎ、金具を作る。柄つけて、鞘を作る。
できた刀を鞘に差し込み完成だ。
「お疲れ様ですー」
そう言ってウィリが水を差し出してくれる。
制作時間は多分2時間くらいだと思う。
刀を作るにはもっと時間がかかると思うがそこはスキルのおかげだろう。
「名前はなんていうんです?」
ウィリがこの刀の銘を聞いてくる。
「ん〜虎徹とか?」
「おーいい名前ですね。神話級の武器を作るにはまだレベルが足りなさそうだしいいんじゃないです?」
この精霊は所々ゲームっぽい表現をする。
「この後はどうします?自分の領地とか見ます?」
「そうだな、そうしよう」
自分の領地の村を見に行くことになった。
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