コリウス
宮又ゆうも
第1話 いつもの日常
「じゃ、みんな今日も頑張ったな! 気をつけて帰れよ!」
伝え、二―C担任の大江田は教室から去って行く。
片桐は成瀬に近づき、他愛のない会話を始めた。安田自身は四肢をだらけた体勢をとる。
「あー終わったー」
それに斜め後ろのやんちゃ仲間である伊藤が反応を示す。
「楓―、帰りどこよるー」
「いや、残る用事が出来てなー。一緒に帰れなさそうなんだわ」
「用事って?」
「体育と国語と美術と家庭科と数学の教師からプリントや教材運びを言われててな。出席や小テストの点数が悪かったらしいんだ。それの罰と言うか……な」
「なら待ってるよ!」
「さすがにいつになるか分からねーか先に望と一緒に帰っててくれ」
「でもよー」
「頼むよ」
「……わかったよ」
了承すると伊藤はもう一人の仲間である佐々木に近寄り、言葉を交わす。そして荷物を持って教室を出て行った。
安田は荷物の整理をする。目の端で成瀬と片岡が仲良く話している。
しかしその会話も佳境のようで、
「それじゃー恵ちゃん、部活頑張ってね」
「うん。紀里もお買いもの、気をつけてね」
片岡と成瀬はお互いに手をふる。そして片岡は振りながら教室を後にする。
片岡が去り終わり、成瀬は手をふるのを止める。
「……よし」
そして成瀬は気合を入れ、荷物を持って去って行く。
それを見て安田は、
「美術部にそんな気合入れる必要あるのか?」
と疑問を口にする。
しかし考えても仕方が無いので片付け終わった荷物を持ち、安田も教室を後にする。
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