第11話 落としたスマホ 十一
それは誰かのスマートフォンで、派手な装飾のカバーで「盛られ」ている、誰が見てもはっきりと女の子のものだと分かるスマホだ。
『しかし、このカバー派手だなあ…。一体
誰のだ?
まあ職員室に届けるしかないか…。』
俺はそう思ったが、職員室に入る気がしない。なぜなら、この時期の職員室には「勉強に関する質問がある生徒のための特別席」が設けられており、そこには「ここが分からない。」という疑問を持つ生徒が並んで教師の説明を待っているからだ。
繰り返しになるかもしれないが、俺はこの受験戦争のモードになじめていない。そのため、周りのクラスメイトたちが真剣に勉強(この場合質問など)をしているのを見るのも嫌だ。それはたとえ質問がなく、用件が「落とし物」だけであったとしても、
「二階堂、最近勉強の調子はどうだ?」
「授業の内容で質問はあるか?」
など、100%教師に声をかけられる。
『そんな相手するの、親だけで十分だよ…。
あと、塾の講師もうぜえな…。』
俺はそう心の中で、常々叫んでいる。
…まあそういったわけで俺が職員室に入るのをためらっていると、
「あ、それあたしの!」
後ろから、声をかけられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます