第15話
練習します。駄文です。
ちいさなクレープ屋さんだった。大型商業施設のエスカレーターを降りた先。右手にくるりと回り込むように歩けばそれは見えた。壁際の一角だった。
明るく照らされたショーケースが上下にあった。
まず目に入るのは下のショーケースだ。ショーケース兼お支払い台兼商品受け渡し台の高さが割とあるので、上よりも下のほうが目線に近い。
苺の赤や、チョコレートの茶色など、さまざまな具材が宝石のように輝いている。見ただけで漂ってくる甘みが、唾液を口内に流し込んでいく。日焼けした白色を思わせる扇状の生地は、背景として抜群に具材を際立たせてくるからたまらない。
たまらないと言えば、上のショーケースを見ていると、ちらりちらり。視線を合わせてくる店員のお姉さんもずるい。買うの? 買わないの? 迷っているなら買っちゃいなよ! 誘惑というか、勧誘がずるい。
上のショーケースを見ていると自然と目に入ってしまうため、下のショーケースに視線を逃がすしかないじゃないか。
で、結局。
下のショーケースからバナナチョコレート味とやらを注文して、財布をすこし軽く、心中的にすこし重くしてしまうのである。
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