2017年8月20日 追悼コンサート終了後 皆本悠二

 演奏会の後、懇親会があった。今日の演奏会の奏者と運営関係者だけの食事会。祈里の思い出話をさせられたりした。


 食事会もデザートとコーヒーなど出てきて雑談の花が開いている時にオカンに進路について小声で相談した。

「母さん。相談がある」


そして目指すものをを伝えた。オカンは隣席に座る息子を向くと軽く頷いた。


「やりたいならやれ。でもさ、就職できるアテはあるの?」

「それは他のところで空きができるのを待ってでも行く。あそこは出身者を積極採用するから待てば行けると思うし」

「わかった。入学費用はなんとかなるとしてその後の学費はねえ。後から考えようっか」


安心していいのか分からない回答だよな、これ。でもやるなとは言われなかった。それが大事。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る