宇宙1可愛くてバカな妹の為に、シスコンのお兄ちゃんが家庭教師をしてやるぜっ!
関口 ジュリエッタ
第1話 バカな妹と天才お兄ちゃん
「よし……終わった」
青く澄んだ晴れた朝、部屋のカーテン開けて気持ちを切り替える。
昨日の晩から今まで大学に論文を書いていたからだ。
ショートヘアの顔は整っている美顔で高身長だ。外見は完璧だが頭脳も完璧、成績は常に一位でIQ200の所持者なのだ。
大学の女性からは猛烈にアプローチをしてくるが平然として見向きもしない。なぜなら恍には心を打たれた大好きな女性がいるから。
デスクチェアで一休みすると部屋のドアから数回ノックする音が静かに響く。
「だれ?」
「お兄ちゃん、入ってもいい?」
妖精のようなかわいい声がドアの向かい側から聞こえてきた。
部屋のドアを開けて入ってきたのは、もうすぐ高校受験が近い妹の
さらさらした髪に黒く艶があり、髪の長さは肩までのセミロングヘアーで雪色のふっくらとした肌にまだ幼さが残るつぶらな瞳のかなりの美少女だ。しかも細身の巨乳。
「相変わらず可愛いな我が妹よ。早くその立派な胸を揉ませておくれ」
「朝からセクハラ発言はやめて。気持ち悪い」
唯は眉を吊り上げる。
「嫌がる唯も可愛いな。もう我慢できないからお兄ちゃんから抱きついてあげ――ウブァァッ」
両手を羽のように広げて唯を抱きしめようとした瞬間、いきなり唯のしなやかでキレのあるハイキックが恍の顔面にモロに入った。
「イテテッ、こんなカッコいい兄に照れるのはわかるが暴力はよくないぞ……」
鼻に手を当て、恍は床に這いつくばる。
「照れていないし。それに変質者に暴力振るうのは正当防衛だから問題ないし――それと自分のことカッコいいとか――キモッ」
「俺は変態な行動は起こしてないじゃないか。。これは一つの愛情表現だろ」
「だからそれは愛情じゃなくセ・ク・ハ・ラッ!」
頭に角を生やしたように激しく唯は恍に叱る。
「セクハラと言われても兄ちゃんは唯に沢山愛情を注いでいくつもりだ。もちろん身体で」
「――
「ごめんなさい。小寿恵姐さんには言わないでください」
嫌らしい顔つきから一変し
恍にとって小寿恵はかなりの
「とにかく私に変な気は起こさないでよね」
「わかった……約束する」
言葉では約束したが内心では破るつもりでいる。
「ならいいよ。」
「そうだ唯」
ふと恍は尋ねた。
「なに、またいやらしいことでもするの?」
「俺に何か用があってきたんだろ?」
「!?」
さっきのやりとりで唯も自分の要件をすっかり忘れていた。
「私もうすぐ受験でしょ、だからその……何というか……」
急に唯の顔が俯きモゾモゾ喋る。
「ん、どうした?」
「ん~とね、私にベッ、ベッ……」
ふと恍の脳裏に唯が言いたいことが瞬時にわかった。
「皆まで言わなくていい、IQ二百を持つこの俺が妹の考えることなんてお見通しだ。ちなみにスリーサイズも知っている」
さらりとデリカシーの無い発言をした。
「今夜お兄ちゃんとベッドで〝
確かに普通の人間とは考えることは違う。
「そんな訳ないでしょっ! どうしていつもいつも私にいやらしいことを言うの! ほんと最低っ!」
腹立たしく唯は否定する一方、恍は予想が外れて驚き戸惑う。
「まさかこの俺が不覚にも妹の考えていることを当てることができないなんて……」
顔に手を当て絶望的な表情を出す恍に、唯は呆れ顔になる。
「いつも私の思っていることなんて分からないでしょ」
ハア~と額に手を当て、ため息をつく唯。
「分かったぞ!」
急に恍はまた何かを閃いた。
「唯。おまえの言いたいことはズバッとお見通しだ!」
恍は探偵気取りで、唯に向かってビシッと指を差す。
やれやれと呆れて唯は嘆息を漏らした。
「で、何がわかったの?」
「昨日の深夜に放送された恐怖番組を見て怖くて便所に行けないから一緒に連れションして欲しかったんだろ」
「…………」
唯はゴミを見るような眼差しで恍を見つめ、部屋から去って行った。
「あれ……何か気に触るようなことでも言ったか?」
妹の気持ちをまるでわかってないダメなブラコン兄であった。
その後、部屋から出て、リビングに入ると食卓には唯と父親が向かい合って座っていた。
恍は、唯の隣に座ると嫌そうに椅子を少しずらし距離をおく。
(何だ今日は機嫌が悪いな生理か?)
誰のせいで機嫌を悪くさせたのか自覚してないまま、母親から出された朝食を食べ始めた。
母親が食卓の椅子に腰を下ろし心配そうに唯にあることを告げる。
「唯、お兄ちゃんに家庭教師をしてもらうようにお願いしたの?」
母親の言葉を聞いた瞬間、反射的に唯の眉毛がピクッと動く。
「何だ、俺に勉強を教えて欲しくて部屋に来たのか。そうならそうと早く言えよ水くさいな俺たちは兄妹だろ、遠慮なんてするな」
その台詞に唯の眉間に青筋がピキピキと浮き上がる。
「別に私はお兄ちゃんに頼らなくても一人でできるし」
すると母親は鬼の形相で唯に向かって怒鳴り始めた。
「あなたが一人でできるわけないでしょっ! この前の実力テストで全教科の合計が十点だったじゃないっ!」
恍は胃に入れた食べ物を逆流するかのように
「全教科の合計が十点って――おまえ高校受験どうするんだよ。あと半年しかないんだぞ」
まさかここまで出来が悪いとは正直思いも寄らなかった。
「毎日寝ないで勉強すれば大丈夫だもん!」
「おまえ死ぬ気かっ!?」
唯は食べ終わった食器を流し台に運んで床が抜けるような足音を立てながらリビングから出て行った。
「お願い恍。あなたの力であの子を公立の高校に入学させて欲しいの」
涙ぐんで懇願する母親に恍は戸惑う
「今から勉強を教えたとしても評判の悪い高校にしか入学できないよ」
「中卒よりはマシ」
そう母親が言うと父親は猛烈に反対する。
「それはダメだっ! ウチの可愛い娘の身が危険だっ!」
両親たちの近くにも危険人物がいることに気づかない。
それもそのはず、唯に如何わしい行為をしてることは当然両親は知らないからだ。
「確かに親父の言うとおりだな。何とか俺が全力を尽くして、そこそこの高校に入学させてみせるよ」
力強く恍は断言する。
「頼りにしているわよ」
頭のいい兄に教われば大丈夫だと母親は安心した表情になる。
「恍に任せれば一安心だな」
肩の荷が下りたように父親が言う。
両親のお願いでマンツーマンで唯の勉強を教えることになった為、恍は嬉しさのあまり失神しそうになる。
このシスコンである恍に唯を任せるのは危険な行為だとも知らずに。
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