先に先に
新字体
先に先に
高齢者が増えたこの街には道のゆく先々には、倒れないように杖が至る所においてある。国はそこに転んだ時のために、壁という壁に腰から膝の高さにスロープを付けることを義務付けた。また、スロープにつかまることができなかった時のために、道に立った姿勢に戻れるようにトランポリンをはめ込んだ。
この対応について街頭インタビューを行ったところ、
「こんなんあったってケガする人なんて減らんわ。それよかおばはんの膝にサポーターつけときゃええねん」
ということがあったので、テレビ局はサクラを仕込んで
「さすが、我ら国家の対応は素晴らしい。私たちのことを考えてくださって筆舌に尽くしがたい」
というメッセージに変えておきました。以上現場からでした」
テレビを見て、
「なんでこいつらは、いわなくてもいいことをいったんだ」
と、たかしは思った。
「なあ、おまえ、お前の料理はいつ食べてもおいしいな」
と、父は言った。母は、
「もちろんよ、あなたがそう言うと思って私がつくっておいた料理を捨てて、前もって頼んでいたウーバーイーツで料理を宅配しておいたのよ。あら、やだ。もう8時よ、あなた、お仕事行く時間でしょう」
「大丈夫だよ、お前がそう言うと思って何日か先に出社しておいたんだ、と、思うだろうから先に退職届も出しておいたんだ」
先に先に 新字体 @sinnzitai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます