1人で4度美味しいカノジョ☆
美月希
第1話 退屈な人生
「花谷ー!今日の業務終了や!かたづけろー!!」
「はーい!わかりましたー!」
いつも通り、配管を切って溶接していたら定時になった。現場は転々とするがやることはほぼ一緒だ。定時に帰れるが、帰ってもやることが無い。仕事して帰るを繰り返す人生。
彼女もいなければ、遊びに行く金もない。
平凡で退屈だけど、今の俺には丁度いい。
「花谷!おつかれ!」
「先輩。お疲れ様っす。」
「なぁ、お前来週の飲み会参加するんか?」
「いや、やめときます。」
「来るよな?」
「ハイ行きます。」
「よぉーっし!花谷も参加するって言っとくわ!」
先輩の言葉にいつも負ける。断るという文字は辞書にないらしい。
(まぁ、暇やしたまにはえっか)
「で、飲み会の会場や参加費は……」
「参加費は工場長が全額出すって!はい、これ飲み会のビラ」
「は?」
ビラを見て固まった。飲み会の会場スナックかよ!なんで?
「どうも、工場長そこの店の常連でママのこと気にってるんやって」
「やからって水商売の店はないでしょ……」
「まっ、全額負担してくれっからええんやない?」
「はぁ……」
正直、飲み会みたいな集まりは苦手だ。
家に帰ってもする事ないからモ〇ハンやドラ〇エにスマホゲームするのが唯一の楽しみだ。それに2週間後に発売されるホラーゲームを買うためにお金を残してる。俺はゲームが人生の全てだ。みんなで集まったりする暇と金があるならゲームにつぎ込んでる方がいい。それに女と一緒に飲むなんて1番無駄遣いだ。遊ぶぐらいならいい暇つぶしになるからいいけど、好意はもたない。お付き合いしたら自分の時間がなくなるからだ。
それに彼女なんていらない。自分の時間削ってまで何故付き合う必要がある?元カノで学んだ。だから、いらない。
「ただいまー」
家に着くと姉ちゃんがいた
「おかえり!今日夕飯なに食べたい?」
「なんでもええ」
「それ1番困る」
「唐揚げ食いたい」
「めんどくさい」
「じゃあ、聞くな」
「文句あんならコンビニ行け」
「ありません」
姉ちゃん怒らすと怖いからなぁ……。
俺が高校生の時、姉ちゃんが彼氏にふられたと泣いていて男勝りな性格を指摘したらいきなりエルボーをくらった。それから正座で永遠と怒鳴り続けられた。マジでアレは地獄だった。
「あ。来週職場の飲み会あるから、飯いらん」
「あんたが飲み会に参加?明日地球滅ぶんとちゃう?」
「それは言いすぎやろ」
「引きこもりのあんたが参加するって珍しいから」
「工場長が全額負担してくれっから」
「やと思った」
確かにそういう集まりに参加するのは珍しい。けど、地球滅亡はちょっとショックだ。
夕飯ができるまで昨日のモ〇ハンの続きしよ。
俺の1日の最後はゲームで締める。つまんないけど、これぐらいが丁度いい。刺激のある人生なんて面倒なだけ。明日は休みだし〇ズドラ、コラボイベントするからゆっくりできる。
「ご飯できたでー」
「はーい」
同じ日々をただただ過ごす。これが俺の人生
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