第2話 式典にテロは憑物
新たな生活に希望も抱けない今日この頃、両親は永久Cランクを運命付けられた息子が、能力者開発系の学園でも名門中の名門である芳名学園に入学できたという事で感涙の涙を流す事はあってもそれ以外はなかった。
両親を喜ばせた事は嬉しかったが、目の前が真っ暗である事を否定できない。
ここにいるのは、人間兵器クラスの能力者ばかり風が吹けば殺されるような。Cランクでは、そう言う話以前のところである。涙が零れ落ちる。
くるりと周りを見回してみても。鷺宮を筆頭に宗島、晴海、総臣、三車と呼ばれた能力者の大家の跡取りや分家がずらりと存在していた。有名と言う意味では俺の家も相当有名だが、これだけマイナス方向に有名な一族は写島ぐらいだろう。
もう一つあるとすれば対能力者用戦闘一族松氷ぐらいだろうか、これは悪名だが。
どちらにしろいい名前じゃない。
ついかっとなってあの女を弄り回した所為で、しかもその女からの熱視線がガンガン来ているとくれば最悪だ。想像したくも無い大迷惑が襲い掛かってくる。
何でよりにもよって特殊開発学科にいるんだよ。特殊な生徒以外はお断り学科だろうここ、高等属性の支配を持ってる人間だから特殊な生徒だろうけどさ。特別開発学科に行くのが普通だろうSSランクなら。
なぜ俺の真後ろにいるんだよ。
回避不能じゃねーか。再起不能にもほどがある。
すでに征服をつかまれている時点で、式典が終わったと同時に襲い掛かる気でいる。冷静に考えろ俺、一応この最悪は洋装していた範囲だ。
「ひさしぶりだな、阿婆擦れ」
「おひさしぶりですね、魔術師」
いつも通りだこの女は皮肉をものともしない。明らかに銘菓で育ったくせに人のおしとやかとか人の話を聞くとかそう言う機能が失われている。
「お前の推薦だろうこれ、こっちは墨島学園に行くつもりだったのに」
「えぇ、私にあれほどの屈辱を与えたあなたがあの程度の学園なんて話を聞いて許せるわけが無いじゃないですか」
「黙れ、喋るな、俺に対しての情報を振りまいてみろ。三月十一日を実行してやるぞ」
ちなみに肥溜めにぶち込んだ話である。
流石にあいつも思い出したくないのか、一瞬手が緩む。その代わりに明らかにありえない能力稼動が起きている気がした。
俺は何も見てませんし聞いてません。現実から、眼を逸らすように、目を閉じてみるが、
「そんな事をする前に病院送りにする自信位ありますが」
意味がなかったらしい。瞑想したところで人生はとかく変わらないという事実表現だろう。
理解している。どうせ距離が離れていようが、支配の能力から逃れられるわけが無い。鷺宮の当主になるものだけが使える最上級能力だぞ。
対処法が無いわけじゃないがなぁ。
「しかし詰めが甘いのがお前の性だな。俺の弱さを甘く見るなよ」
「イやそこ自慢するところじゃないでしょう」
さてどうだかね。
「詰めが甘いんだよ、だから肥溜めに落とされる。車に轢かれる、ビルから落ちる、ストリーキングをさせられる」
「あっ、そ・・・・・・それは、今言わなくても!!」
「ばーか、折角の式だからと思って我慢してたが、お前がそう来るなら仕方ないよなぁ」
そんな命に関わる攻撃を受けるならこっちにも考えがある。
本当はこんなことしたくなかったのに、あーあーお前の所為だぞ阿婆擦れ。
「え? ちょっと待ってください、冗談ですよ。私そんなこと・・・・・・」
ざんねんだ、とてもぼくはざんねんにおもう
『とりあえずの料理は爆発から始めるとしようか』
その言葉と同時に、式は地獄の悲鳴を上げる事になった。俺の仕掛けていた花火があらゆるところで爆発したのだ。もしものときのためとは言え、用意していて良かったな。
高位能力者ばかりの学園でこの程度爆発目隠しにしかならないが、敵を唖然とさせるには丁度いいだろう。
俺を止めたかったらまず俺に小細工をさせる隙間を挟ませないこと、それが出来なきゃ詰が甘い。
その製で入学式は台無しだが、許される範囲だと俺は思っていよう。
今俺の後ろを必死に追いかける化け物から逃れられるためなら仕方ない。ちょっと、建物が半壊したって許されるさ。
***
私は教師生活二年、ふざけた才能を示す生徒達の教育ばかりしているせいで自分が国家指定能力者であるという自覚を失い続ける。だが今回初めてあの写島がこの学園に入学してきたと聞いた。
最も本当に能力は弱い、彼の能力自体強いなんて代物じゃない。言霊使いそれが、写島の子供だという。
最も現象化率4パーセントと言う破滅的な弱さだが、持続率にいたっては1パーセント、言葉に対して余りに力の無い能力者だ。
支配者曰く、あの人こそ私の最強のライバルらしい。ドンだけ不利を覆す能力者なのか教えて欲しいが、写島がどれほどの可能性を秘めているが預言者自体分かっていない始末だ。だがそれ以上に今問題なのは俺の教師生活の中で始めての担任にして初生徒はなぜか講堂を爆破しやがった。
その前に教師ですら起こしえない能力機動を感じたが、明らかに波長が違うため何かしらの理由があるのだろうが、俺の首はじけ飛んだだろうこれ。
今まさに阿鼻叫喚のじごくだ、いくら高等能力者が固まっているとは言え所詮まだ実戦にさえでた事の無い子供。高学年がその崩壊を納めているが、その混乱は狂気の沙汰にさえ見えてしまう。
そんな中写島の子供が全力でこの崩壊し続けている講堂から逃げ出した。その後を支配者が追っている、何と無く理解したが、原因はともかく完全に放置とは俺の教員生活台無しにするつもりだろうか。
と言うか爆発までの手並みが鮮やか過ぎる、たぶん講堂のいたるところに、能力者鎮圧用の爆薬を用意して言霊で起動させて爆発と居たところだろう。
なんというか驚きだ、手馴れている。と言うか校庭から響く爆破の音に俺の居はひたすらに胃が小さくしまる一方だが、どこまでトラップを仕掛けたのか教えて欲しいぐらいだ。そしてしばきたい。
ぽんと肩を叩く教頭は、お前は悪く無いと首を振る。まだ自己紹介もしていない生徒が大暴れしている事に同情しているのだろう。給料から修繕費を引くという言葉を口にしてくれなかった事に涙が零れた。
***
「お待ちください、魔術師さん」
「きゃー、変態に襲われるー。おまわりさーん」
そういいながら女の足元で、小規模な爆発が繰り返しえてやる。いくら能力で身体強化を行なってもこう頻繁に爆発を起こせば、その力自体が役立たずに成る。さらに冷静な思考も奪えて次の行動に移りやすい。
と思っていた俺は馬鹿だった。こんな広い場所に出れば支配の力の本領発揮だ、支配はつまり物理支配者の略である。鷺宮はこの力で能力者の頂点の一つと言われている。
今俺の頬を通り過ぎた一撃は、石でも跳ね飛ばしたのだろう。俺の次の一歩をそれで阻んだ。
「魔術師さん、今回といい前といいその前といいその前の前といい、なぜこう騒ぎばっかり大きくするんですか」
特に理由は無い。
「ふん、こうすれば退学もありえるだろう。そうすれば、通り魔少女Aにして砲撃少女Bにして病院隔離少女Cに会わなくてすむだろう」
何にも考えてなかったとは絶対に行ってやらない。
なにしろそんなのかっこ悪いからだ。
「つまり何も考えてなかったと」
「俺の言葉を聴いてなかったのか暴走少女D」
その言葉を放ったとき目の前に居る暴虐少女Eは、支配の能力をより強めた。ちなみにだがこの女が通り魔をしていた頃はこの二ランク上の機動をしていた。つまりまだ余裕と言う事だが、今は敵にしかならない。
だがちょっと腹が立っているのだろう目が釣りあがっている。
「貴方がそう言った時、一度としてまともに何かを考えている事はありませんでしたが?」
「そりゃ敵に本当のことを言う馬鹿は居ない、脳天爆撃型少女Fよ、当たり前のことだろう、命の危険があるのに手の内をさらすなんて、そんな二流をする馬鹿は俺は目の前に居る猪少女Gしか知らないが?」
「質問を質問で返さないで下さい、大体何処でEを使ったんですか。っ手また私を馬鹿にしているんですね、どうせ心の中でまた失礼な事を言ったんでしょう」
ほら乗ってきた、無駄におちょくれば元々気の短いこいつだ。何かしらのリアクションを起こすと思っていた。本当にこいつが名家の出で淑女として育てられたと思うと、鷺宮の当主はよほど馬鹿なんだろう。
そんな家潰れればいいのに、いくら能力者至上主義世界だからと言って、頭の悪い馬鹿を外に野放しにするのは流石に腹が立つ。
「さて現実逃避を少々してと、どうしようかこのプラズマ現象」
「とりあえず消え去ると言う選択肢がありますが?」
「冗談じゃないこの不細工」
なぜか威力が上がった。
俺には理解できない女心とか言う奴だろう。
「まぁまぁ、落ち着いて話をしようじゃないか。そんな物を受けたら学園ごと崩壊しかねない、だからこその妥協案だ、ほら十月九日覚えているだろう最初の公道の王様が現れた日を」
「それは私が貴方に嵌められて裸になった日です。貴方が悪魔だと認識した日でもありますが」
「じゃあその日を実現しましょうかね」
いや別に僕下心はありません。
「いえそんな事をするつもりはありませんよ。これはただの目くらまし、とっくに拘束できましたからね」
「またこれかよ。阿婆擦れ、大概にしないと本当に学園吹き飛ばすぞ」
「え?」
間抜け面になったな簡単に、とくに何も仕掛けて無いけど。過去の蓄積って凄いとこういうときに思ってしまう。正直子の女に能力者勝負をして勝てるわけが無い。はったりをはったりで重ねて、はったりではったりをする。
じゃないとこんな化け物に敵うわけが無い、同じ土俵に上がって勝負できるのは同じ化け物だけだ。
そもそもこいつと戦うにはその条件を外した以上、違うベクトルでの勝利を可能としなくてはならない。
「近くによるな、近くに来るな、助けて、だれか誰か助けてー」
「何処まで私を馬鹿にするんですか、言霊使いでも神霊使いでも貴方は無いでしょうに」
ばーか、誰がお前らに能力を教えるか。
『鷺宮の女が、襲ってくるー。やめろー服を脱がすなー』
「ってそこで、よりにもよってそれを使いますか貴方は、この魔術師、覚えていなさい、この復讐はきちんとしてあげます、と言うより今現在進行形で」
「どうするつもりだ、この痴女。何で俺の服に手をかけているのだろうかね」
その音と同時だ、生徒達がこの校門に現れたのも。
俺の悲鳴を加えて服が引き裂かれる。
「うあああ、襲われるー、誰か助けてくれ、痴女が、痴女が」
「こうなったらやけです。内緒にしておくはずでしたが、ここで仕返ししてあげます。どうせ一蓮托生、この先渡しの人生真っ暗なんですから」
そういってまた女は俺の服を引きちぎった。
「私だって、貴方のせいで戦いと言うものを理解しているんですよ。
この魔術師! 二年前から私に敗北を味合わせ続けた階級破壊者 写島美春。この鷺宮明に唯一の黒星をつけ続けた男め!!」
「喋るなこの悪魔、大体階級破壊者だと、写島はそんな大層な家系じゃないだろうが!!
ババアの所為で、勝手にそう呼ばれているだけだ。松永を個人で下し、炎帝 不動明王を倒したあの厄介者の所為で勝手にそう呼ばれているだけだ!!」
「じゃあなぜあの日、なぜ私が地に付して貴方が私を椅子にして缶コーヒーを飲んでいたのですか」
しらん。
「知るかそんな事!! 大体俺の名前を呼ぶな、男みたいな名前しやがって」
「貴方は女みたいな名前をしてるでしょうが」
あーもー、なんていう迷惑女だ。ここまでやってまだ食い下がりやがる。
「いっておきますがこれ以上の能力を使うのは、私は許しませんよ」
「つかわない、つかわない、このタイミングで使われるほど俺は能力者としてすぐれちゃいない」
勝利と言う結果は一つだが別に道は一つじゃない。
「いい忘れてたけどさ、『上に気をつけたほうがいい』と思うぞ」
そして俺の能力をCランクだからと過小評価するのもな。
この馬鹿が放っていた石の弾丸が、建物を壊さなかったわけが無い。その破片を、一つばかり拝借する事ぐらい俺の能力でも出来る。
後はガンと石が頭に落ちて意識を失わせて終了。
誰もが偶然と思う状況を作ればそれでいい、この女の学園での評価はこれで地に落ちた。俺はラッキー万として生きていこう。
こんな呪われた能力を受け継いだ俺の運命なのだろうか。
世界最強の炎帝 不動明王を倒したランクC能力者 写島明日香 の能力を受け継いでしまった俺の、と格好をつけてみたが所詮、運が悪いだけだ。
目を廻して倒れているこいつを見てあきれたが、よく見ると場は意味もなく静になっていた。
「俺の勝ちだ、まさに天才だろう!!」
「ふざけるなー!!」
百人単位に同時に能力をぶち込まれたのは生まれて初めてでした。
何で俺生き残ったんだろう?
ちなみに一週間ほど寮から出してもらえなくなりました。俺は悪くありません。あと、ですが鷺宮の化け物に対しての評価で痴女が着かなくてとっても不愉快です。
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